【速報】「失敗とはとらえていない」民間ロケット「カイロス」飛行中断措置受け、スペースワン社が会見「経験は貴重、原因を究明し再挑戦」ノズルの駆動制御に異常、飛行経路にズレ
18日午前11時に打ち上げられた「カイロス2号機」は、その直後、ミッション達成困難と判断され、飛行中断措置がとられました。スペースワン社は18日午後2時半から会見を開き、判断の理由について説明しました。 【ライブ配信】スペースワン社が記者会見 “打ち上げ失敗”について説明 会見で豊田正和代表取締役社長は「今回のミッションは衛星を軌道に投入させる最終段階まで達成させることができませんでした」と謝罪しました。 打ち上げから80秒過ぎにノズルの駆動制御に異常が発生、その後、計画していた飛行経路がズレたことから、打ち上げから3分7秒の時点で「飛行中断」がなされたということですが、原因については「対策本部を立ち上げ、現在調査中」としています。 スペースワン社は「ミッションが最後まで達成できなかったことに関して、お客さまおよび、打ち上げにご尽力いただいた関係者の方々にお詫び申し上げるとともに、応援して下さった皆様のご期待に沿えなかったことを大変残念に思います。一刻も早く原因を究明し、打ち上げに再挑戦し、小型ロケットによる打ち上げサービスの実現により、宇宙ビジネスのさらなる拡大に貢献してまいります」とコメントを発表しました。
■スペースワン社の社長「失敗とはとらえていません、経験は非常に貴重」
打ち上げ後、ロケットがクルクル回っているように見えたことについては、ノズルの駆動制御に異常が生じたことから、正しい姿勢を保てず機体が回転したということです。 豊田正和社長は、「私どもは今回の事象を失敗とはとらえていません。経験は非常に貴重だと思っています」とのべ、今回のデータも次の「3号機」に向けて活用したいと意気込みを見せました。 ロケット開発を行う民間企業「スペースワン」は、和歌山県串本町の民間発射場で「カイロス2号機」の打ち上げを18日午前11時00分に実施しました。当初は14日の打ち上げを目指していましたが、直前に「強風」のために突如「延期」され、15日に再設定された打ち上げも風の影響で再度延期が発表。今回が2号機として三度目となる打ち上げの挑戦でした。 「スペースワン」は、民間としては日本で初めてとなるロケットの発射場を串本町に整備し、ことし3月、民間ロケット「カイロス」を打ち上げましたが、発射直後に爆発し墜落しています。この爆発の原因についてスペースワンは「推力の不足による速度の低下で正常飛行範囲から逸脱したことで安全装置が作動した」としていました。 ロケット「カイロス2号機」は初号機と同じく、全長約18メートル重さ約23トンと、既存のロケットの中では小型です。名前の由来はギリシャ神話の「時間の神様」からとられています。スペースワンは、契約から打ち上げまでを世界最短の1年以内にすることを目標にしています。 日本のロケット打ち上げはこれまで、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などが主導していました。民間では2019年5月に、北海道大樹町でベンチャー企業「インターステラテクノロジズ」が開発したロケットが初めて打ち上げに成功しましたが、人工衛星は搭載していませんでした。 「カイロス2号機」は、初号機と比べて燃焼速度の予測などを見直し改良を加え、さらに搭載する衛星は1基から5基へ増やしていました。衛星が軌道に投入されれば民間では初めての快挙でした。 スペースワンは打ち上げ費用を明らかにしていませんが、1回あたり約8億円で人工衛星を打ち上げ可能とされる米国企業「ロケットラボ」にも引けを取らない価格を目指すとし、打ち上げの頻度は2020年代中に1年あたり20回を目標に掲げています。