マクロン大統領が欧州委員を交代、フランスの要職獲得を交渉
(ブルームバーグ): フランスのマクロン大統領は、同国として指名する欧州委員を現職のティエリ・ブルトン氏から交代させた。欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会内でのフランスの影響力維持を優先した格好だ。
マクロン大統領は欧州委員会と、EUの競争力強化に関連する取り組みの全てを監督する新設ポストをフランスに割り当てるよう交渉していると、事情に詳しい関係者が明らかにした。
ブルトン氏は欧州委の中心的な人物で、域内市場担当委員として、米ハイテク大手の勢力拡大に対するEUの対応策を決定する際にマクロン大統領を支えた。
しかし、ブルトン氏は対立的なスタイルでフォンデアライエン委員長と何度も衝突。同委員長は2期目の委員会の人選を最終決定している最中だった。協議に詳しい人物が匿名を条件に語ったところによれば、フランス政府関係者はブルトン委員を再指名しても、重要な役割が得られないのではないかと懸念していた。
そこでマクロン大統領は、退任が予定されるセジュルネ欧州・外務相に白羽の矢を立てた。セジュルネ氏(39)は欧州議会の中道リベラル会派「欧州刷新」において大統領の盟友。匿名を条件に語った2人の関係者によると、同大統領の計画ではセジュルネ氏は欧州委員会の上級副委員長となり、繁栄と競争力に関連する重要な分野を担当する。
この分野はドラギ前欧州中央銀行(ECB)総裁が先週発表した報告書で、「ゆっくりとした苦しみ」を避けるためにEUの巨大な単一市場を生かし、金融業界の統合を進めるための鍵として挙げていた。
フォンデアライエン委員長は2期目(任期5年)の欧州委員会の顔ぶれを17日に発表する見込み。具体的な決定内容は依然変更される可能性もあると、関係者はくぎを刺した。
欧州委員会およびフランス大統領府の報道官は、欧州委員会の人事案についてそれぞれコメントを控えた。
ブルトン氏は16日朝、辞表を提出。その中でフォンデアライエン委員長を激しく批判した。