久保は外れたがU-22代表に選ばれたもう一人の17歳逸材とは?
午前中に行われるトップチームの練習を終え、急いで佐賀市内へ戻って午後から授業に出席。夕方から行われるU-18の練習にも「声をかけるとか、水くみをするなど、チームのために何かできることをしています。一応、キャプテンなので」と可能な限り顔を出している。 ごく普通の県立高校の3年生。Jクラブ傘下のユースチームのキャプテン。J1の舞台で臆することなくプレーするアマチュア選手。多忙を極める「三足の草鞋」に、来夏に迫った東京五輪を目指すU-22代表へ、U-18代表やU-20代表を飛び越えて抜擢された。 「自分は(中盤の)どこのポジションでもやれる自信はあるので、そのポジションに入ったときの役割にプラスアルファ、得点に絡めるシーンを出せていけたら、と考えています」 こう語る松岡が最も得意とするのは、サガン鳥栖U-18で務めるボランチとなる。憧れの選手はフランス代表のエンゴロ・カンテ(チェルシー)。身長170cm、体重65kgと自身とほぼ同じサイズの体に、常人離れしたスタミナとボール奪取術を搭載する中盤の汗かき役を目指して、精進を重ねている。 指揮官が金監督に代わっても主軸を担っている松岡は、3-1で快勝した11日のガンバ大阪戦でも先発フル出場。その試合を視察していた森保監督も、走行距離11.189km、スプリント回数28回でともにチーム最多を記録していた点を高く評価した。 「本当にハードワークできる選手で、トゥーロン国際のメンバーとしても十分に活躍できるだろう、ということで選びました。年齢は関係ないと思うので、できるだけその選手がふさわしい、その選手が一番適したカテゴリーでプレーしてもらうことが一番大切だと思っています」 初めてとなる直接対決を終えた直後に、松岡について、久保もこんな言葉を残している。 「声もすごく出していたし、気迫もあった。同じ年の自分が言うことじゃないですけど、若いのにあのがむしゃらさはすごいと感じました。これから2人ともどうなるかわからないですけど、いつか一緒に代表でプレーできる日がくれば、と思っています」 56年ぶりの自国開催となるスポーツ界最大の祭典で、背中を追い続けてきた同世代のトップランナーと共演を果たすために。サガンで輝きを増し続けるホープの挑戦が、フランスの地から幕を開ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)