ピーター・ドゥ率いる新生ヘルムート ラングがポップアップストアを開催
ヘルムート ラングが伊勢丹新宿店に続き渋谷パルコ、大阪の阪急梅田本店で開催する。ポップアップのオープンを記念して来日したピーター・ドゥに話を訊いた。 写真の記事を読む
昨年5月にヘルムート ラングのクリエイティブ・ディレクターに就任したピーター・ドゥ。昨年9月にニューヨークのファッションウィークで発表し話題を集めたファーストコレクションのポップアップストアが伊勢丹を皮切りに開催される。 ミニマリズムのパイオニアとして知られ、いまもなお影響を与え続けている伝説のブランド、ヘルムート ラング。ファッション界が注目するブランドに返り咲いた新生ヘルムート ラングについて、伊勢丹新宿店のオープニングに合わせて来日したピーター・ドゥにインタビューを行った。 ──ポップアップストア開催の感想を教えてください。 実際に来場して買い物している人を見て、僕が手掛けたヘルムート ラングが日本の皆さんに受け入れてもらえたんだなって、生で触れ合うことができてすごく嬉しかったです。 ──今季のコレクションのなかで、フェイバリットアイテムを教えてください。 すべてお気に入りですが、いま穿いているデニムは、僕が初めて買ったヘルムート ラングのヴィンテージデニムのシルエットをベースにしているのでとくに思い入れがあります。 ──米版『GQ』のインタビューでは、ブランドのアーカイブを参照しないと語っていましたが、それは現在も変わらずでしょうか? ファーストシーズンはブランドの基礎となる部分をつくることに集中したかったのでアーカイヴを参照しませんでした。昨年の5月15日にスタートし、3カ月後の9月にファーストコレクションを開催したので、ゆっくりアーカイヴを眺める時間はありませんでした。それに、アーカイヴからデザインを取り入れてしまうと、自分たちが本来やらなければやらないことが疎かになってしまうと感じたからです。いまはブランドのアーカイヴを見たりもしますが、過去の焼き増しをするのではなく、新しいことをして前に進まなければならないとおもっています。たとえば、シェイプをアップデートしたり、良いところを生かしながら、それをいかに新しいものにするかを毎日考えています。 ──ヘルムート ラングにとってニューヨークはどのような意味をもちますか? ニューヨークは、ヘルムート ラングにとってのアイデンティティでブランドのそのもの。ニューヨークのブランドとしてストーリーが始まっているというのが、ブランド本来のあり方だとおもいます。 ──来日して印象深かったことはありましたか? 2回目の来日ですが、スウェットなどのアメリカンスポーツウェアがこんなに流行っていることに驚きました。ニューヨークでは、ジムにいくためにアクティブウェア、仕事をいくためにフォーマルウェアとオケージョンに合わせてファッションを変えている人が多いですから。滞在中は、アンダーカバーやビズビム、キャピタルなどの日本ブランドのお店も好きなので見てまわりましたね。 ──ファーストコレクションのデザインインスピレーションについて教えてください。 ヘルムート ラングのクリエイティブ・ディレクターに就任し、チームとディスカッションを重ねていくなかで、ただファッションというだけでなく、もっと深い意味をデザインに込めていきたいと考えるようになりました。たとえば、今シーズンの特徴的なベルトを配したセットアップがありますが、それは僕が14歳の時にアメリカで初めて車に乗ったところからインスピレーションを得ています。ベトナムの田舎に住んでいた頃は、みんな歩くかバイク移動でしたから、初めて車に乗ったときは『なんて合理的で素敵なんだ。車は自分を自由にしてくれる』って感動したことを憶えてます。このセットアップを着れば、車にのってどこへでも移動できるように、自由な気持ちになれるメッセージを込めてベルトを配したデザインをつくりました。 ヘルムート ラングにとってモチーフになるものを何かと考えたときに、車のような合理的で機能性のあるもの、そして身近なラグジュアリーなもの。特別な人しか手に入れられないのではなく、みんなが手の届く、ドメスティックなラグジュアリーを新しいヘルムート ラングにメッセージとして入れるものに、車はふさわしいんじゃないかと取り入れたんです。今シーズンのプリントにも使っていますが、ヘルムート ラングがデザイナーとして初めてニューヨークのイエローキャブに広告をだしたデザイナーだったので、車に繋がりも感じました。 ──今後のキャリアの目標はありますか? ファッションを続けていきたいですね。いま興味があることは良いものを作り、それを買ってくれた人の生活に役立つ機能的なことであること。これからも、モノづくりを続けていって完成度をどんどんあげていきいまの仕事をきちんと続けていきたいですね。 ピーター・ドゥ ベトナムのビエンホアに生まれ、14歳でフィラデルフィアに移住。ニューヨークのFASHION INSTITUTE OF TECHNOLOGYでファッションデザインを学び、2014年にLVMH GRADUATE AWARDを受賞。その後、セリーヌ、デレクラムで経験を積み2018年に自身の名を冠したブランドPETER DOを立ち上げ、現在もその指揮を執っている。 ポップアップストア開催 伝統的なクラフツマンシップとエッジィなデザインを組み合わせることで、ニューヨークの雰囲気を捉えた高品質かつダイナミックで実用的なデイリーアイテムが揃う新生ヘルムート ラング。ポップアップストアで、コレクションをいち早くチェックしよう。 会場:渋谷 PARCO 3F POP UP SPACE 期間:2024年3月29日(金)~2024年5月6日(月) 所在地:東京都渋谷区宇田川町15-1 会場:阪急うめだ本店 3F コトコトステージ31 期間:2024年4月24日(水)~2024年4月30日(火) 営業時間:10:00~20:00 所在時:大阪府大阪市北区角田町8-7 渋谷 PARCO、阪急うめだ本店ともに、ポップアップストアの会期中に8万8000円(税込)以上お買い上げの方に数量限定のノベルティ(内、先着5名にはピーター・ドゥの直筆サイン入り)が用意されている。