【MLB】首位ドジャースと4.5ゲーム差で脅威となったパドレスの熱気あふれる本拠地球場
【MLB最新事情】 パドレスは7月30日のドジャース戦で4万7559人、31日も4万6997人と大入りで、異常なほどの熱気だった。4万7559人は本拠地ペトコ・パークの記録と発表されている。 パドレスは昨年327万枚のチケットを売り、それは同球団の観客動員記録だったが、1試合当たりの平均は4万390人、今季はそれを上回る4万462人の動員で、これはドジャース、ヤンキース、フィリーズに次ぐ堂々4位だ。増えたのはオフにセンターフィールド外野席の後ろのスペースを拡張して再設計するために約2000万ドルを投資し、約5000人のファンが座れる芝生と人工芝の席を新たに設けたから。 春のオープン戦で、外野芝生に座るのと似ている。そこもぎっしり埋まっていた。このペースでいけば、年間327万人の記録も塗り替えるだろう。 ペトコ・パークは2004年にオープンした海辺の美しい球場、初年度に301万人を動員した。しかしながらその後はチームが弱かったこともあり、観客数は減り続け、09年は最低で192万人まで落ちた。以後も210万人台のシーズンが多かった。それが爆発的に増えたのはつい最近だ。22年は298万人、23年は前述の327万人である。 変わったきっかけは故ピーター・サイドラーオーナーの積極性だった。サンディエゴは人口やテレビマーケットから見て、明らかにスモールマーケットチームで、ゆえに以前のオーナーは給料総額を1億ドル以下に抑えていた。筆頭オーナーとなったサイドラーはその事実を無視し、ビッグマーケットのチームのように大胆にお金を使い出した。 20年は1億ドルを超え、21年は1億5000万ドル、22年は1億9000万ドル、23年は2億3600万ドルと急増させた。フェルナンド・タティス・ジュニア、マニー・マチャド、ダルビッシュ有、ジョー・マスグローブ、ザンダー・ボガーツらと大型契約を結び、ほかにもフアン・ソト、ブレイク・スネル、ジョシュ・ヘイダーといったオールスター選手を集めている。 昨冬、サイドラーの死去を受けて、赤字が膨らんでいたことから、給与総額を1億5900万ドルまで削減しなければならなくなった。ソトをトレードし、FAになったスネルやヘイダーを手放し、これが限界かと思われた。だがAJ・プレラー編成本部長はサイドラーの遺志を引き継ぎ、積極的な補強を続けた。 開幕直前にホワイトソックスのエース、ディラン・シースをトレードで獲得、5月は2年連続首位打者のルイス・アラエスをマーリンズから補強した。そして先の7月30日のトレードデッドラインでもマーリンズのクローザー、タナー・スコットとレイズのリリーバー、ジェイソン・アダムを加えている。トレードの場合はご存じのようにお金ではない。ファームの若手有望株を差し出すことで、大物を手に入れるのである。 若手有望株を出し過ぎると、将来的にチーム力が著しく低下すると危惧される。だがプレラーは今、勝つことに集中しているようだ。そしてこの2試合でドジャースに6対5、8対1と連勝。59勝51敗で、4.5ゲーム差に迫り、ドジャースの脅威になっている。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images
週刊ベースボール