時代劇ブーム再び到来中!映画、ドラマ、配信オリジナル…2025年必見作品をペリー荻野氏が厳選
世界的に注目された「SHOGUN 将軍」、全国的なヒット作となった「侍タイムスリッパー」など、時代劇の話題作が続いた2024年。その追い風を受け、25年も注目作が揃う。 【写真】時代劇「剣客商売」の「おはる」が転機になったという小林綾子さん 地上波では、正月4日、テレビ朝日系で「新・暴れん坊将軍」が登場。主演はもちろん松平健。17年ぶりの上様降臨で、盛り上がるのは必定だが、内容は還暦を迎えた吉宗が、世継ぎ問題に直面、さらに城下町で起こった陰謀に立ち向かうという新展開。脚本は大河ドラマ「青天を衝け」の大森美香。監督は三池崇史。令和の上様がどんな「成敗!」でスカッとさせてくれるか。期待したい。 続く5日には、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」がスタート。長く太平の世が続いた江戸時代中期。親も金もない身の上ながら、度胸とアイデアと人脈で江戸のメディア王となった蔦屋重三郎(横浜流星)の熱い人生を描く。彼はいかにして喜多川歌麿、葛飾北斎、滝沢馬琴の才能を見いだし、謎の絵師・東洲斎写楽を売り出したのか? 脚本はドラマ10「大奥」の森下佳子。江戸のクリエーターや田沼意次(渡辺謙)、平賀源内(安田顕)、売れっ子花魁・花の井(小芝風花)、蔦重の育ての親(高橋克実)ら、くせ者たちとのやりとりにも注目だ。 同5日、NHKBS時代劇「雲霧仁左衛門ファイナル」もスタート。大盗賊・雲霧仁左衛門(中井貴一)一党と彼らの捕縛に執念を燃やす火付盗賊改方・安部式部(國村隼)との攻防を描く。ファイナルとなる今回の標的は、蔵前随一の札差・大熊屋。天下五剣「数珠丸恒次」を所持するといわれる主人・三太夫は人前に姿を現さない謎の人物。雲霧といわくもある三太夫、ナンバー2の札差三国屋おりょう(観月ありさ)、強欲な平野大和守(中村梅雀)もからむ、雲霧一党の「最後のおつとめ」である。
決死の覚悟で「種痘」に挑んだ医師を描いた「雪の花 -ともに在りて-」
映画では、実在の人物が主人公の新作が2編公開される。 「室町無頼」(1月17日公開/東映)は、大飢饉や疫病など中世の暗黒時代、権力に真っ向歯向かった蓮田兵衛を大泉洋が演じる。無敵の棒術を会得した才蔵(長尾謙杜)はじめ、居合の達人、槍使い、洋弓名人などアウトローたちとともに、日本史上、初めて武士階級で一揆を起こした兵衛と骨皮道賢(堤真一)率いる幕府軍の激突。原作は「極楽征夷大将軍」で直木賞を受賞した垣根涼介。監督はWOWOW「ふたがしら」で疾走感あふれる盗賊の世界を描き、魅せた入江悠。壮絶なアクション時代劇だ。 一方、江戸末期、決死の覚悟で「種痘」に挑んだ医師を描いたのが、「雪の花 -ともに在りて-」(1月24日公開/松竹)。 福井藩の町医者・笠原良策(松坂桃李)は、妻の千穂(芳根京子)に支えられながら、疱瘡(天然痘)の治療法を探っていく。京都の蘭方医・日野鼎哉(役所広司)に学び、中国での「種痘」の実施を知った良策だが、種痘の「苗」は海外から取り寄せる必要があった。良策の必死の訴えは、やがて藩を動かし始める。 監督は黒沢明監督のもとで経験を積み、美しい映像と人間描写で定評のある小泉堯史。 この他、NHKでは、小泉八雲夫婦を描く25年度後期朝ドラ「ばけばけ」、小芝風花主演BS時代劇「あきない世傳 金と銀2」、時代劇専門チャンネルは、北大路欣也主演「三屋清左衛門残日録」、松本幸四郎主演「鬼平犯科帳」と人気シリーズの新作制作、WOWOWは、関ケ原の30年後のサバイバルスリラー「連続ドラマW I,KILL」、Netflixは今村翔吾原作、岡田准一主演「イクサガミ」も放送・配信予定。正義の人、無頼漢、ご隠居、女商人、さまざまな主人公たちを追いかけよう。 ▽ペリー荻野(ペリー・おぎの) 1962年、愛知県生まれ。コラムニスト、時代劇研究家。「チョンマゲ愛好会女子部」を立ち上げるなど多くの時代劇企画に携わる。「ちょんまげだけが人生さ」(NHK出版)、「時代劇を見れば、日本史の8割は理解できます。」(徳間書店・山本博文との共著)、「テレビの荒野を歩いた人たち」(新潮社)など著書多数。