クジラ肉消費低迷しているのになぜ? 75億円かけ国産捕鯨母船を新造 「重要な国産食料の1つだ」「反対国は非科学的な主張をする」
関鯨丸を建造したのは、「共同船舶株式会社」。同社は1987年、鯨類資源調査事業への貸船会社として創設された、世界で唯一「母船式捕鯨」を行う企業だ。捕鯨母船1隻と捕鯨船3隻を所有している。2023年3月期に1億5000万円の黒字を達成し、売上は約31億円。鯨肉販売(20億円)や目視調査事業への貸船(10億円)などで収益を得て、水産庁から捕鯨対策予算の貸付(年10億円)も受けている。 関鯨丸建造にあたっては、共同船舶が銀行から融資を受けたという。江島氏は「共同船舶が、お金を借りて建造して、資金を回収する見込みがあると経営判断して、75億円の投資を行った」と説明した。
捕鯨をめぐっては、かねてから反捕鯨団体からの妨害を受けてきた。シー・シェパードは妨害船を使い、捕鯨船への体当たりや、信号ロケット弾を打ち込むなど、度重なる妨害行為を行ってきたが、日本側の提訴により、2016年に「永久に妨害しない」ことで和解している。日本捕鯨協会によると、日本のIWC脱退以降、200海里内で操業していることもあり、妨害はされていない。 反捕鯨団体による妨害は「南極海で調査捕鯨をしていた期間」に限られていた。江島氏は「南極海は『どの国のものでもない』と条約で守られていて、『なぜその海域で、クジラを捕るのか』と主張する一部の国があった。日本は現在、EEZ(排他的経済水域)の中で捕鯨している。日本近海での捕鯨を理由に、反捕鯨団体に“軍資金”を出す国や団体はなく、止めさせようという国はない」と述べた。
そもそも商業捕鯨は、なぜ必要なのか。宮下一郎農水大臣は2023年11月、「クジラは重要な食料資源だ。他の海洋生物資源と同様に、科学的根拠に基づいて持続的に利用すべき。伝統的な食文化継承にも貢献する、大変重要なもの」との認識を示している。 江島氏は「調査した結果、鯨種の生息数は大体把握できた。この計算は日本だけでなく、IWCの科学委員会で決めたもので、科学的データに基づいて捕鯨している」とした上で、「反対国は『クジラは人類の友達だ』や『賢い』などと、非科学的な主張をする。背景には『自分たちが食べていないから、日本人も食べるな』という思いがある。日本は全ての魚種について、科学に基づいて、捕るか制限するかを判断すべきだと言っている」と説明する。