Laura day romance 2024年第三弾シングル「渚で会いましょう」をリリース「曖昧なところに日本語の良さみたいなのがあるかな」
――リズムも8ビートとか16ビートとかでもないし、何に乗っていったらいいんだろう?みたいな不思議な感覚があります。鈴木さんのデモはどんな感じだったんですか? 礒本雄太(ds) 最初に「こんな感じ」っていうのが共有されるんですけど、本当に「こんな感じ」でした(笑)。他の曲より作りこんでないわけじゃなくて、迅の中のフィーリングというか、「こんな感じ、こんなイメージ」っていうのがバラバラな状態で出てきてるみたいな。それが楽曲の中にハマってたり、「ここはもうちょっと変えたり」がバラバラにあるような状態で共有はされていて。「これどこまでやるの?どこまで再現するの?」というデモではありましたね。 鈴木 2段階あって、要は弾き語り、他のオケとかついてない中で歌と曲の展開だけがあるものをまず井上に渡して、その後仕上げていってバンドのサウンドになってきたら礒本と共有されるっていう形なんですけど。だから井上にしてみたら、こんなことになるとはって感じだと思うんですけど。 ――井上さんは展開とメロディラインがあるものを受け取って? 井上 そうですね、というか弾き語りで。アレンジも最初から割と入ってるものも多いんですけど、でもやっぱり出来上がったものと比べると違いすぎて、デモ段階で私は良さをあんまりわかってないな毎回、と思う曲が多くて(笑)。それは最近のアレンジが結構すごいからなんですけど。でも逆に言うとギターと歌だけで「すごくいいなこの曲」って思う曲は割とそのまま完成することが多いというか。今回の「渚で会いましょう」は完全にアレンジありきの曲だったなっていう感じがしてますね。まあ最初からいい曲なんだけど。 ――じゃ何段階かあって完成して行くと。今回の肝はやはりリズムですよね。 鈴木 今回はリズムすごかったね? 謎でしたね。 礒本 すごかった。どうするこの後?(笑)。 ――リファレンスはあったんですか? 鈴木 えっと、一個言うならザ・ナショナルっていうバンドの『I Am Easy to Find』っていうアルバムの1曲目(「You Had Your Soul With You」)がこういうトライバルなビートパターンだったんですけど、それよりノリづらくて複雑で……。 礒本 (笑)。 鈴木 というのをやってますね。そこが一個スタートにあったので。そのビートの感じがすごい好きでスケールもデカい感じだったみたいなのはありました。 ――この曲で言いたいことという意味では何がありましたか? 鈴木 ライナーノーツにも書いたんですけど、今までは簡潔にというか、物語を書いてその中に何か引っかかる部分とか物語の中の毒の部分が、自然に口ずさんでるうちにリスナーに入ってくるみたいな感覚がほしいなと思ってやってたんですけど、今回はもっとイメージっぽいというか。それこそ洋楽を聴く時ってなんとなくサウンドでイメージを受け取ったりすると思うんですね。それは言語がわかり切らないからっていうのもあると思うんですけど、距離感みたいなのが邦楽の断片的な歌詞とアレンジの中で、景色が浮かんできたり、自分の過去の記憶とリンクしてきたりっていう感覚を引き出せないかな?っていうのが一個あって。そういう聴き方が邦楽をメインで聴いてる人とかヒット曲をたくさん聴く人にはあまりないものだなというのは思っていたので、日本語の中でそれができたらもっといろんな世界が広がるのにっていうのは一リスナーとして思っていて。そこを実現できるようにっていう意図がちょっとあるかもです。 ――すごい志高いですよね。 鈴木 ははは。志だけは。 ――単にサイケデリックな曲にしようと思ったらもっと簡単じゃないですか。でもそういうのじゃないっていうか。 鈴木 そうですね。奇跡的に老若男女にわかってほしいんですよ、究極は。そこは諦めないっていうか、もしかしたら子供もわかるし、もしかたら歳を取ってる人もわかるし、音楽好きな人もわかるし音楽聴かない人もわかるしっていうようなところを常にあきらめないではいたいっていうのを含め、僕も思ってるので。そこですね。本作もそこだと思います。