創業2年の「将来宇宙輸送システム」が再使用可能なロケットの試験に着手
宇宙旅行サービスの実現などが最終目標
2024年8月14日、将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は宇宙往還を想定したロケットの離着陸試験を開始した。メインの地上離着陸テストは2025年以降に実施予定となっている。 【写真】「ASCA hopper」のスペックを見る 将来宇宙輸送システム(ISC)は、創業2年の宇宙スタートアップで、必要に応じて既成の技術や部品を積極的に取り入れるなどアジャイル開発により驚異的な開発速度を実現している、今注目の企業だ。 宇宙往還を実現するためのロケットの離着陸試験(ミッション名:「ASCA hopper(アスカ ホッパー)」)は、2023年11月に構想を開始し、2024年1月から試験用ロケット「ASCA hopper」の開発を進めている。 試験では、小型離着陸試験機「ASCA hopper」のロケットエンジンの燃焼、機体の離着陸、再使用に必要な点検整備の3要素を確認し、小型衛星打上げ機「ASCA 1」や有人宇宙輸送機「ASCA 2」の実機開発に向けて、再使用型ロケットの開発能力獲得を目指しているという。 さらに、来年以降、小型衛星打上げ機「ASCA 1(アスカ ワン)」、2030年代前半に有人輸送機「ASCA 2(アスカ ツー)」を開発することを目標に掲げており、完全自社開発にこだわらず、パートナー企業と連携して技術を獲得する姿勢にも注目だ。 日本が持つ高い宇宙技術を最大限活用して、高頻度・単段式・往還型の宇宙輸送機を開発し、将来的には地球上の二地点間の高速輸送、宇宙空間への輸送、宇宙旅行サービスの3つを実現することが最終目標だそうで、今後の動向に期待したいところである。 【今後の試験予定】 2024年9月:電装系(アビオニクス)結合試験 「ASCA hoper」の離着陸を制御する電装品を組み合わせたシステムを検証。 2024年10月:ロケットエンジン統合燃焼試験 エンジンだけでなく機体を制御する電装機器を組み合わせた燃焼試験。 実際の飛行制御装置と制御方法でエンジンをコントロールし飛行を模擬した状態での燃焼状況を確認する。 2024年12月:着陸脚落下試験 「ASCA hopper」の着陸脚に実際の飛行時の落下状態を模擬した状態の衝撃をテストする。 来年以降:地上離着陸試験 「ASCA hopper」のメインミッションで、離着陸試験用小型ロケットを実際に打上げ、着陸させるテスト。打上げ高度は約10メートルを想定。