有名誌の休刊とぽっちゃり女子向け創刊 雑誌は「模索の時代」に
今年1月に入り『すてきな奥さん』(主婦と生活社)と『JILLE』(双葉社)が相次いで休刊を発表しました。『すてきな奥さん』は1990年に『主婦と生活』の後続誌として創刊。『JILLE』は2001年に創刊し、裏原宿系のファッションを好む10~20代女子から支持されていました。年明けすぐに伝えられた人気雑誌休刊のニュースに、時代の移り変わりを感じるという声が聞かれます。 出版科学研究所(東京都新宿区)の発表によれば、昨年2013年に休刊した雑誌は124点。『Grazia(グラツィア)』(講談社)、『月間大人ザ・テレビジョン』(角川書店)、『日経PCビギナーズ』(日経BP社)などが相次いで休刊。なかでも人気雑誌『ViVi』の姉誌として2005年に創刊した『GLAMOROUS(グラマラス)』(講談社)の休刊には驚いた人が多かったようです。
「分岐点」となった06、07年
同研究所では、2013年における雑誌の推定販売額は前年比4.4%減と伝えています。 雑誌休刊が増えている背景には、雑誌広告費の減少があります。インターネット広告費が雑誌広告費を上回ったのは2006年。この年、インターネット広告費は4826億円、雑誌広告費は4777億円でした。さらに翌年、インターネット広告費は前年比6003億円と前年比24.4%増。この後、インターネット広告費が伸び続けるのに対し、雑誌広告費は下がり続けています。 また、2006年には休刊誌数が創刊誌数を上回り、「創刊による押し上げ効果が縮小した」と「2006年 日本の広告費」(電通)とされています。翌年の2007年には休刊数が初めて200を超えました。2006年、2007年は雑誌にとっての節目の時期だったと言えるかもしれません。さらに2009年の広告費は前年比74.4%と激しく落ち込みます。
アラサー女性向け雑誌が健闘
2012年の雑誌広告費は10年以上ぶりに前年比100%を超え、100.4%。ただしこれは、前年の東日本大震災の反動増などで広告費全体が上がったことによると見られ、電通の分析では「(雑誌の)創復刊点数は98点で過去最低レベルの100点を割る低調ぶり」「目玉となる大型創刊は少ない」と指摘されています。とはいえ、「アラサー世代女性向けの『BAILA』(集英社)や、女性・母・妻の3役を提唱する30代女性向け『VERY』(光文社)の広告集稿は前年比で30%以上の伸長」と一部の女性誌が健闘を見せている様子が伝えられています。