なぜ、日本の株主総会は6月と決まっているのか…実は日本固有の謎文化だった!米国ではカクテルパーティー、ショッピングイベントも同時開催
独自の進化を遂げた日本企業の招集通知に対しては“一定の支持”
「商事法務」(2024年6月5日号)の匿名コラム『スクランブル』には、株主総会の7月開催についてこんな指摘もあった。 「テクニカルには配当基準日と議決権基準日のずれの適否、年度末を越えてなお半年近く経営陣の人気が続くことへの妥当性のほか、株主総会の準備期間が長期に及ぶことへの負担感、年度が明けて将来に向けて切り替えて経営を再スタートすべき時期とのバランス、そして日本固有化もしれないが真夏の真っ只中で開催することへの健康問題(特に高齢の来場株主や外回りスタッフの熱中症の懸念)等があり、歩みは進まない現状ではないかと思われる」 「有価証券報告書の総会前提出を論じる前に、ガラパゴス的に独自の進化を遂げた日本企業の招集通知を拡充していくアプローチも考えられてよいのではないか」 大企業で株主総会を長年取り仕切ってきた総務部的な発想のコメントであり、支持する向きも多いのではないかと思われる。
はたして「9月総会」は実施できないのであろうか
これに対して、米欧の投資家と接点の多い企業のIR(投資家向け広報)担当者からは、こんな声がある。 「7月総会が気候の面で問題があるというのであれば、いっそのこと9月総会という手もあるはず」 「欧米企業の株主は年次報告書の内容をみて議決権行使を決めている。内容はあまり変わらないとはいえ、日本流の招集通知では違和感が残る」 この問題、株主総会を取り仕切る総務部と、投資家と接点を持つIR担当部署との感性が反映されているようであり、実に興味深い。6月の一か月間集中している株主総会が7~9月に分散するようになれば、総会に向けての企業と株主との対話がさらに促進されるし、日本企業の変身も印象づけられる。 一社でも二社でも「9月総会」に移行する企業は現われないものだろうか。
小平龍四郎