西淀川のおもしろ住職は人気者 地域に根ざし「こころ塾」
大阪に不思議なお寺があり、その活動が注目されている。街のお寺さんこと「浄土真宗単立泰心山西栄寺」(大阪市西淀川区御幣島)だが、毎月開催している「こころ塾」が今夏で100回を数え、先日、スペシャルイベントを開いたのだ。同塾は参加者の親睦をはかり、教養を高めてもらおうと8年前から始まったもの。住職による仏事セミナーだけでなく、西栄寺バンド生演奏や童謡コーラスがあるなど、地元では“おもしろ住職”として親しまれている。関係者らは「地域の方々と一緒にやってきて、100回目を迎えました。皆さまの温かいご支援のおかげです」と感謝の意を述べた。だが、ここに至るまでは様々な紆余曲折があったという。
多彩な活動を繰り広げて地域に貢献
「西栄寺」は異端とも言える実践型のお寺だ。8年前から山田博泰住職が西栄寺大阪本坊内の西栄寺会館で「こころ塾」を始めた。毎月第4水曜日の開催だが、今年7月で100回目となった。 100回目の時、挨拶に立った山田住職は「第1回目は次元が低かった。でも、ここに来れば、いろんな出会いがあり、ぬくもりがある。今日は100回目、1回目からずっと来ておられる方もいます。4名の方が皆勤賞です。こうして皆さんの温かいご支援で100回を迎えることができました」と話した。 イベントでは僧侶たちの西栄寺バンド生演奏で住職がサックスを吹くなど、会場を盛り上げた。同寺では葬儀やお墓などのよろず相談をはじめ、相続問題など無料法律相談、さらにカラオケ同好会、空手道場、囲碁クラブといった多彩な活動を繰り広げて地域に貢献している。
ここに至るまでにいろんなドラマがあった
東京にも進出し、現在、大阪で4つ(大阪本坊、尼崎本坊、堺支坊、西宮支坊)、東京で1つ(東京別院)を展開し、「お寺のフランチャイズみたいなもの。お寺の広がりとともに様々な活動も広がっています。こういう展開をしている寺はどこにもないでしょう」と、東京別院の責任者、榎本勝彦さんは語る。 僧侶でありながら、空手も教え、「365日、24時間体制でやっている。大阪から東京に進出したわけですが、大阪と東京の文化の違いはある。関西人は会った瞬間から引き合いますが、関東は互いの距離を大切にする。ただ、人間の根本は同じです」と語った。 大阪本坊は3つ目の場所であり、「8年前、ここに来た時から『こころ塾』を始めました。ここに至るまでにいろんなドラマがあった。周りから嫌がらせを受けたこともありましたが、我々はきちっとやっていこうと思った。我々の活動を一般の方々が認めて下さった。寄付とか副業とかではなく、お布施をお預かりしてやってきし、逆境を跳ね返して、それをバネに一歩一歩歩んできました」(榎本さん)と、これまでを振り返った。
これから200回を目指します
また、「お寺は高い位置にあると思われがちですが、うちは同じ目線で市民に寄り添う形のお寺です。今の時代、いかに地域の方の要望に応えられるか、それによってお寺の発展が決まる」とも。 新しいことが大好きな山田住職は「これから200回を目指します。そして地域に貢献させて頂く。来年、介護センターを開業します。決してお金儲けではない。苦労なさっている人への手助けになればと思っています」と、意気込みを述べた。 (文責/フリーライター・北代靖典)