【まるも亜希子の「寄り道日和」】本気のエコドライブで燃費、経費、事故削減 「エコドライブ活動コンクール」表彰式で感じたこと
皆さま、明けましておめでとうございます! 2025年が皆さまにとって平和で実り多き一年となることを願いつつ、このコラムでは先を急ぐばかりでなく「ちょっと寄り道」気分で楽しんでいただける情報をお届けしたいと思っております。本年もどうぞよろしくお願いいたします。 【この記事に関する別の画像を見る】 2024年は私にとって、新しい世界をのぞかせていただく機会が多かった1年でした。その一つが、2011年度から続いている「エコドライブ活動コンクール」の審査委員の末席に加えていただいたこと。このコンクールは、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団が毎年開催しており、警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省が後援をしている大掛かりなコンクールです。 審査委員会の委員長は、この分野の第一人者である早稲田大学の大聖泰弘名誉教授が務められ、慶應義塾大学の飯田訓正名誉教授、全日本トラック協会 交通・環境部長の齋藤晃さん、日本自動車連盟 交通環境部長の柴田年輝さん、日本EVクラブ代表理事の舘内端さんという、そうそうたる方たちがずらりと委員に名を連ねています。そんななかにひょっこり、加えていただいた私なんですが、エコドライブ活動のコンクールがどんな感じなのか、いったい私に審査委員が務まるのか、いろいろと不安だらけのスタートとなりました。 コンクールに参加されるのは主に企業や団体となるのですが、面白いのは燃費を競い合うのではなく、さまざまな方法で社員や仲間たちのエコドライブに対する意識を高めたり、運転の上達をサポートしたり、効率を上げたりする取り組みを幅広い観点から審査するところ。3つの部門があって、自社の車両を保有するバス、トラック、タクシーなどの運輸事業者を対象とした「事業部門(緑ナンバー)」と、移動などの業務上で車両を使用している事業者を対象とした「一般部門(白ナンバー)」、メーカー等の企業によるエコドライブを支援する機器やサービスを対象とした「支援ビジネス・ユニーク部門」となっています。 応募件数は全国から348件。一次審査、二次審査と続いて財団のかたが実際にその事業者のもとへ出向いて担当者に話を聞いたり、現場を見たりします。その後、審査委員によって活動内容を「取組体制」「教育の実施」「燃費管理」「活動成果と評価」「継続実績と方策」の5つから評価し、各賞の受賞者が決まるという流れです。 結果として2024年度の栄誉ある「国土交通大臣賞」を受賞したのは、新潟県上越市に本社を置き、2023年で創業80周年を迎えたという上越運送株式会社。すでに22年にわたってエコドライブ活動に取り組んでいるそうですが、きっかけは環境問題への意識というよりは、経費削減の方が大きかったとのこと。経費を分析した結果、同業他社より燃費が劣っていたことに気づき、エコドライブ活動をスタートしたのだそう。それが今では、支店の班長を中心にエコドライブの委員会まで設置して、年度はじめには安全大会で全社員に周知したり、毎月の委員会で報告と見直しが行われているというから頭が下がります。運転の個別指導や、安全とエコドライブの冊子を独自に作成して社員に配布するなど、徹底した取り組みが素晴らしいと思いました。 そして、環境大臣賞を受賞したのが東京都足立区で廃棄物回収やリサイクルを行なう株式会社利根川産業。早くからデジタルタコグラフを導入して3K(急発進、速度超過、急減速)をモニタリングし、改善指導を実施したり車両ルートごとに燃費目標値を設定して改善率を計測したり、回収手順のルート化で作業時間を削減し、無駄なアイドリングをなくすといった、コツコツと地道な取り組みが素晴らしいと思いました。また事故削減にも取り組んでいて、危険予知トレーニングの動画を週に1回見たり、アプリを使用した個別研修プログラムを提供。よい運転の動画を募集して共有するなど、社員がお互いに協力している雰囲気もいいなと思います。 こうした受賞者の取組を大聖先生が総括し、テレマティクス機器の徹底的な活用や、グループ単位での協力、競い合うといった工夫によって、活動の質やモチベーションの向上が図られている傾向が見られました。人がエコドライブを本気で行なうと、こんなにもさまざまな成果が出てくるのだということを、エコドライブ活動コンクールに携わってあらためて実感した次第です。 2025年も引き続き、自動車業界にとっても地球環境にとっても、未来につながる重要な年になるだろうと思います。みんながその一員として、責任ある行動を心がけることで未来が変わる気がします。私は手始めに「1日、1エコ」の実行が目標です!
Car Watch,まるも亜希子