「排気ガス出さないで」 ZEV義務化とは何か? 英国を揺るがす環境規制、消費者への影響は
2035年までの年間目標
ZEVの販売比率は、2024年に22%、2025年に28%、2026年に33%、2027年に38%、2028年に52%、2029年に66%、2030年に80%と定められている。バンなどの小型商用車(LCV)についても同様の目標があり、2024年に10%からスタートし、2030年には70%となる。 しかし、2030年以降は目安に過ぎない。2031年に84%、2032年に88%、2033年に92%、2034年に96%、2035年に100%となっている。 また現段階では、2035年以降のエンジン車の新車販売を禁止する法律はない。2030年までに新車販売の80%をZEVにすることを義務づける法律があるだけだ。 以前の英国の法律では、メーカーはCO2排出量の企業平均目標を達成しなければならなかった。これがZEV義務化に組み込まれ、CO2に関する欧州連合の法律は廃止された。 少し複雑になるが、メーカーはZEV販売比率やCO2排出量を「プール」したり、「貯金」や「借金」したりすることができる。 まず簡単なところから説明すると、例えばフォルクスワーゲン・グループやステランティスといったグループ企業は、傘下ブランドでZEV比率とCO2排出量をプールすることができる。 グループであろうと、単独であろうと、メーカーは貯金(bank)と借金(borrow)ができる。貯金は、ZEV販売台数の超過分を文字通り蓄え、翌年の落ち込みに備えることができる。借金はその逆で、不足分を翌年から前借りすることができる。 ただし、借金には上限があり、2024年はZEV比率22%のうち90%までしか借りられない。2025年は50%まで、2026年は25%までとなっている。また、借り入れた分には3.5%の利子がつくため、翌年以降の目標達成は難しくなっていくばかりだ。 どのメーカーも、英国で販売する新車のZEV比率を公表していない。平均としては18~20%と推測されるが、あるメーカーは8%程度と考えられる。