株式会社田平陸送(大阪)が事業停止、事後処理を弁護士に一任 負債約17億2000万円
トラック運転手が過労死、遺族が運送会社に賠償求め提訴していた
(株)田平陸送(TDB企業コード:857014699、資本金600万円、大阪府交野市倉治3-60-1、代表田平秀行氏)は、11月1日に事業を停止し、事後処理を薄木英二郎弁護士(大阪府大阪市北区西天満4-6-3ヴェール中之島北901、薄木総合法律事務所、電話06-6365-5513)に一任した。今後、私的整理の方向で進めていく方針。 当社は、1993年(平成5年)創業、2007年(平成19年)11月に法人改組した一般貨物の自動車運送業者。航空貨物を主体に、雑貨・食品・家具家電・電子部品などの一般貨物の輸送のほか、キャリアカーを用いた事故車両などの運搬も手がけていた。関西、中部、関東を営業エリアとして、大手・中堅物流会社からの下請け受注を確保。配送に付随して一時保管や管理、仕分け作業なども行うことで付加価値をつけ、2019年10月期には年収入高約22億6200万円を計上した。 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、収入高の約30%を占めていた航空貨物の受注が急減し、2022年10月期の年収入高は約15億7000万円にまでダウン。物流単価や燃料価格の上昇の影響を受け、収益性も低調な状況が続き、3期連続で営業損失の計上を余儀なくされ、財務面は債務超過に陥っていた。 この間、収益性改善のため、不採算拠点の閉鎖や人員削減などリストラによる立て直しを図っていたほか、金融機関へリスケジュールを要請するなどで資金繰り改善に努めていた。しかし、思うように収益性の改善が進まないなか、今年5月に従業員のトラック運転手の遺族から、長時間労働の対策を講じずに過重な業務を命じため心筋梗塞で亡くなったとして、賠償を求める訴えを起こされていた。その後も事業を継続していたものの、ここに来て先行きの見通しが立たないことから、今回の事態となった。 負債は2022年10月期末時点で約17億2000万円。 なお、今後は残務処理を行いながら私的整理を進めていく方針。