【ラグビー】移籍決断の齋藤直人、まずは「イングランド代表にどうやって勝つかを考えたい」
ラグビー日本代表の齋藤直人は、エディー・ジョーンズHCと面と向かって話した。6月6日からの宮崎合宿に先立ってのことだ。 受け取った言葉は「日本で一番、アタッキングな9番になるつもりでキャンプに来い」。9番とはSH。ラグビーで攻めの起点を作る。 「どのキャンプでもそうなるつもりでやっているので。ここでも絶対、成長したい」 6日目の11日には、20歳以下日本代表との試合形式練習を実施した。 適宜、メンバーを入れ替える中、主将経験者のリーチ マイケルらと同組に入る機会が多かった。藤原忍、小山大輝というノンキャップ勢との定位置争いにあって、違いを示そうとする。 約9年ぶりに日本代表の指揮を執るジョーンズが「超速ラグビー」を唱えるなか、声を枯らし、パスをさばく。 司令塔のSOがサインを伝達し、それに沿ってSHの齋藤が接点周りの布陣を統率する。テンポよく球を出し、走り込んでくる受け手を活かす。 その流れには決めごともあるが、「試合では何が起こるかわからない。自分たちで意思疎通してスペースにボールを運ぶのが究極(の目標)」と齋藤。キーワードには「アーリーセット」「インモーション」を掲げる。素早い位置取り、鋭い仕掛けを目指す。 毎日6時半から複数回のセッションをおこなうタフな日程下で、新たな取り組みに面白みを感じる。 「きついけど、楽しいです。周りにいるメンバーも変わって、これから一緒に全員で作っていくのが楽しみです。楽しいというか、楽しみですね。今後が。練習もきついけどてきぱきしていて、内容が濃くて、着実に初日に比べれば理解もしていてラグビーの面も成長している」 2021年に代表デビューの26歳。昨秋のワールドカップフランス大会までの前体制時と比べ、チームに後輩や新顔が増えたと感じる。同い年で同時期に代表入りのディラン・ライリーと、齋藤はこの手の話をするという。 「まずは自分のパフォーマンスが大事ですけど、(周りを)リードするとか、少し気を遣うとか、コネクトする部分で間に入れる存在になっていきたいです。自分も若い時にそうしてもらったので」 転機を迎えている。所属していた日本の東京サントリーサンゴリアスを、今季限りで退団した。かねて海外志向の強かった本人は、こう説明した。 「4シーズン、サントリーにいて、去年、ワールドカップを経験して…。もっと成長したい気持ちがあり、いい意味で居心地がよかった環境を変え、チャレンジしたいと思いました。’27年のワールドカップ(オーストラリア大会)には必ず出たいですし、それをワールドクラスのプレーヤーとして迎えたいと思います」 今回の代表活動には、進路未定のまま挑んでいる。 「いまは日本代表でやっている。そこでコミットして、イングランド代表にどうやって勝つかを考えたいです」 6月22日、東京・国立競技場で、フランス大会で敗れたイングランド代表を迎える。 (文:向 風見也)