青山なぎさ、1st Album「解放」で歌うアーティストとしての覚悟「形として残るものが作りたかった」
TVアニメ「ラブライブ!スーパースター!!」の葉月恋役や「めざましテレビ」のイマドキガールなど、様々なジャンルで活躍している声優の青山なぎさが、10月16日に1st Album「解放」をリリースする。配信シングル「解放」「キミと」を含む全10曲が収録された本作は、全曲で青山が作詞を担当しており、本人のこだわりが詰まった作品だ。 【写真を見る】1st Album「解放」について語る青山なぎさ 青山なぎさの今が詰まったアルバムについて、青山本人に話を聞いた。サブスクが主流の現代において、なぜアルバムなのか。そこには青山の思いが詰まっていた。本人の楽曲解説にもぜひ注目してほしい。 ――5月の配信リリースに続き、10月はアルバムのリリースが決定しました。なぜアルバムだったのでしょうか? 「実はシングルで出すべきか、アルバムで出すべきか、かなり悩んだんです。でも、この年齢で今からアーティスト活動を始めていくってなった時に、何よりもライブを早くやりたいという思いが大きくて。最初からアルバムを作って、少しでも早く皆さんにお会いして、直接歌声を届けたいと思って制作を始めました」 ――なるほど、そういうことだったんですね。今回のアルバムはどのようなコンセプトになっているのでしょうか? 「実はなんでもありっていうのがコンセプトになっているんですよ(笑)。『解放』を最初にリリースしたこともあって、おそらく青山なぎさの楽曲はこういう感じなんだろうなって思ったと思うんですけど、2曲目に全く違う『キミと』をリリースして、今ファンの方はどっちの路線でいくのか迷っている状況なのかなって。実はその状況は私が狙っていた作戦なんです。アルバムにはいろんなジャンルを散りばめているので、全曲聴いたらもうお腹いっぱいになってもらいたいですね」 ――今回はアルバムに向けて用意された10曲になっているんですよね。 「そうですね。コンペで何十曲も応募いただいた中から、作曲者の方の名前を見ずに曲だけ聴いて、いいなって思った曲を選んでいく方式を取りました。このバラードはすごく歌いたいけど、1枚アルバムの中にバラードはたくさんいらないかなとか悩みに悩んで、今回バラードは1曲だけにして。やりたい曲がたくさんありましたけど、それ以上にアルバム全体としての完成度を高めたかったのでかなり真剣に選びましたね」 ――バランス感覚みたいなのは意識されたんですね。 「意識しましたね。その結果、時間がかかってしまって......。最後に作った楽曲が『voice』という楽曲なんですけど、やっと決まった楽曲なんです。この曲は他とは全く毛色の違った曲になっていて、電子音のエフェクトがかかった今時な楽曲なので、ライブでみんなで歌える楽曲になっています」 ――アルバムの曲順にもこだわりがあるのでしょうか? 「これもスタッフの皆さんと一緒にミーティングを設けてじっくり考えました。何回も入れ替えをして、最終的に決まったのが今回の順番になります」 ――今の音楽の聴き方としてはアルバムを通して聴くよりも、1曲を断片的に聴く方が多くなっていますよね。 「それもありますよね。全部をデジタルリリースするという方法もあったんですけど、あえて私が円盤にした理由もあるんです。それこそCDを一度かけたらシャッフルにしない限りそのまま流れていくじゃないですか。だからCDで聴いてそのまま楽しんでほしいという思いがありますね。何十年経っても形として残るものが作りたいと思いました」 ――現在、リリースイベントを開催中ですが、ファンの方の反響はいかがですか? 「正直こんなに多くのファンの方が来てくれるって予想してなくて。来てくれたらいいなぐらいの気持ちでいたら、想像の倍以上の方が来てくださってすごく嬉しかったです。もうステージに上がる時に『なぎちゃん待ってたよ』って大きな声で言ってくれて。そのことを自分がやってるラジオの『まよなぎ』で伝えたら、ファンの方が『なぎっこ舐めるなよ』って送ってくれて、こんなにもたくさんの方に応援していただいていると思ったら嬉しくて。これからもなるべく皆さんに直接会える機会を増やしていきたいなって思いました」 ――本当は全曲聞きたいところなのですが、「青山なぎさセレクト」と題して、特に聴いてほしい楽曲を3曲選んでいただきたいです。 「うーん、難しい...!(笑)かなり悩んだんですけど、1曲目は『シャドウ』かな。これに関しては歌い方がいつもと全然違っているんですよ。この曲は等身大の私よりももっと大人な女性をイメージして歌詞を書かせていただきまして。音楽だけ聴くとジャズでオシャレな音楽なんですけど、現実を見たくなくて、後悔ばかりしている人の歌なんです。その歌詞に合わせて、声色も作っていったので、今まで私の曲を聴いたことがある方は、歌い方違うんじゃないかなって思っていただけるんじゃないかなと思います」 ――2曲目はいかがですか? 「『ステップ』は全部忘れて今だけを楽しもうという明るい楽曲になっていて、また系統が違うんです。この曲を書こうと思ったきっかけが、応援してくださってるファンの方で。ファンの方が『私に会える瞬間だけは、仕事のことも嫌なことも全部忘れて楽しい』っていうのをSNSとかラジオのお便りとかいろんなところで伝えてくださる方が多くて、その気持ちを歌詞にしたいなと思っていて。私も自分で書きながら共感することが多かったので、レコーディングするのが楽しかった曲ですね」 ――最後に3曲目をお願いします。 「3曲目は迷ったのですが、『wake up』を選びました。これがめちゃめちゃかっこいい曲調で、私の中ではアルバムの中で一番かっこいいんじゃないかなと思っていて。普通に言葉にして拳上げてっていうのは少し恥ずかしいんですけど、あえて歌詞にすることで自分の心で思ってることをそのままぶつけてみました。ハイトーンの声も全て地声で歌ってる楽曲なので、レコーディングの時はすごく苦労しましたね。『これライブでできる?』とか言いながら収録してました(笑)」 ――ありがとうございます! ご紹介いただいた3曲ではないのですが、個人的に『そよ風』が青山さんの声色とマッチしていて、すごく素敵でした。 「嬉しいです...ありがとうございます! 『そよ風』は曲のイメージが最初に浮かんできたんです。もう二度と会いたい人に会えない時の気持ちを表現した楽曲で、ピアノの生演奏と一緒にレコーディングさせていただいたので、どちらかというとライブの雰囲気に近い状況で歌うことができました」 ――初めてのアルバムで全10曲の作詞を担当されていますが、相当大変だったのではないでしょうか? 「大変でしたね。私、歌詞を考え始めるのが夜11時から朝5時ぐらいなんですよ。ちょうどアルバム制作期間にミュージカルの本番もあったので、稽古が始まる前と本番が終わった後に集中して楽曲制作をしました。短い時は1日1曲考えることも多々あって、かなり追い込まれてしましたね。でも、逆に追い込まれることで、良いフレーズが浮かんだりしたので、自分って短期集中型なんだなって思いました」 ――歌詞のストックに関しては、アルバム制作前から書き溜めていたのでしょうか? 「アーティスト活動を始めてからですね。今はふと思いついた言葉とか、誰かから聞いてこの言葉いいなって思ったものを、iPhoneのメモ帳にひたすらメモしています。それこそ、ミーティングで聞いた言葉とか、駅の広告の印象的なキャッチフレーズとか。今ではとんでもない数のストックになりました」 ――次に向けても多分いろんなアイデアが控えているんですね。 「めちゃくちゃあります(笑)使えそうなフレーズをフォルダ分けして残しておいて、自分が使いたい時にすぐ出せるようにしています。書き溜めたものを今後皆さんに届けるのが楽しみです」 ――では、今回のアルバムタイトル「解放」にかけて、青山さんが自分を解放できる瞬間を教えてください。 「自分の素が出せる瞬間は疲れ切った時ですね。それこそリハーサルとかでもう踊れない、もう歌えないってなって、地面にもドタってなった瞬間は、これが私の素なんだろうなって。普通の時って自然に姿勢が伸びますし、手は常に左手を上にして重ねて置いておこうとか理性が働くんですけど、もう限界を迎えて家に帰った時は布団にダイブして、とんでもない姿勢でボーッとしています(笑)」 ――最後に1st LIVE「KAIHOU」に向けて意気込みをお願いします。 「セトリも楽しみにしていてほしいです。今まで演者側として見てきたので技術のことは何も分からなかったんですけど、ライブに向けてYouTubeで照明の講座を見たり、演出の方のドキュメンタリーを見たりして勉強しているので、ワンマンライブならではの演出にも期待していてください!」 取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
HOMINIS