【週末映画コラム】どちらもだまされる楽しさが味わえる『ヒットマン』/『スオミの話をしよう』
【週末映画コラム】どちらもだまされる楽しさが味わえる『ヒットマン』/『スオミの話をしよう』 2/2
『スオミの話をしよう』(9月13日公開) 豪邸で暮らす著名な詩人の寒川(坂東彌十郎)の妻スオミ(長澤まさみ)が突然行方不明となった。寒川邸を訪れた刑事の草野(西島秀俊)はスオミの元夫で、すぐにでも捜査を開始すべきだと主張するが、寒川は「大ごとにしたくない」とその提案を拒否する。 そんな中、寒川に雇われている魚山(ととやま・遠藤憲一)、草野の元上司の宇賀神(小林隆)、実業家YouTuberの十勝(松坂桃李)という、スオミの元夫たちが寒川邸に集まる。 誰が一番スオミを愛していたのか、誰が一番スオミに愛されていたのか。彼女の安否はそっちのけで熱く語り合う男たち。だが、男たちの口から語られるスオミはそれぞれが全く違う性格の女性だった…。 三谷幸喜が『記憶にございません!』(19)以来、5年ぶりに手掛けた監督・脚本作品。突然失踪した女性と、彼女について語り出す5人の男たちを描いたミステリーコメディー。 いろいろな顔を見せる長澤、スオミの元夫たちのキャラクター設定、脇役の瀬戸康史、戸塚純貴の生かし方、また相田みつをのパロディーなどの小ネタは三谷脚本の面目躍如とも言える面白さがある。 ただ、ほとんどが寒川邸で進行するいわゆるワンシチュエーションものであるため、いつもの三谷映画同様に、舞台くささがあるのは否めないし、時に見られるミュージカル風の演出も滑っている感じがしたのが残念だった。 (田中雄二)