不安定なのは自分のせいですか 49歳独身・非正規雇用、ずっと手取り月15万円の氷河期世代、結婚にも憧れるけれど…
正社員のフォローに上がらない時給…どんどん理不尽な状況に
職場は通信大手の長野市内の支店など。インターネット関連の事務を担った。パソコンが使いこなせないと業務が滞ると感じ、自分でパソコンを買い独学で操作を勉強。人間関係に恵まれ、仕事は楽しかった。実家暮らしであまりお金がかからなかったこともあって、「賞与がなかったことを除けば、正社員との収入差はあまり気にならなかった」。派遣社員には営業ノルマや転勤などの不安材料がないのもよかった。
同様の仕事で3社、合計15年弱、派遣社員として働いた。責任を持って仕事をするため、身銭を切って業務と関係する資格を取った。どの派遣先でも現場の信頼を得ていた実感がある。
しかし37歳の頃から、仕事が「派遣の域を超えている」と感じることが多くなった。自分の仕事に加え、精神疾患で休職した正社員の仕事と子育て中の正社員のフォローが重なった。仕事は増えるのに賞与もなく時給も頭打ちに。理不尽な状況に疑問を感じ、派遣先に「時給を上げられないなら仕事量に制限をかけてほしい」と交渉もしたが、結局、忙しさは変わらなかった。
2014年から勤めた運輸関係会社では、「今までで一番、理不尽さを感じた」。シフト制の職場で、正社員の休日を確保するために非正規の有給休暇は祝日に重ねることが慣例化。正規と非正規の仕事内容はほとんど変わらないのに、待遇差が大きいことにも納得いかなかった。「不満を持ったまま我慢するのはやめよう」と退職を決めた。
「頑張っても報われない」
さまざまな職場で努力を重ねた経験や、今でも続く人間関係をつくることができたことは財産になった。しかし「頑張っても報われない、使い勝手のいい駒」と感じてきたことも確かだ。
転職も住宅ローンも「非正規・独身の壁」
「独身で非正規雇用なんですが、住宅ローンは組めますか」。6月、新築やリフォームの相談に住宅会社などが応じる長野市のイベント会場に出かけた玲奈さんは、銀行のブースで思い切って相談した。
「あなたのような案件は扱ったことがなくて分からない」。女性の担当者はあっさりとそう言い、インターネットで調べることを玲奈さんに勧めた。「独身の中高年が増えているのに冷たいな」。それ以上、会場を見るのはやめて外に出た。