【レポート】声優・鬼頭明里、アーティスト活動5周年に“48曲MC無し”で熱唱!真剣に向き合ったからこそ見えた景色とは
「アーティスト活動は何のためにやっているんだろう」自問自答の先に見えた答えとは
これまでリリースされた鬼頭明里名義の全楽曲を歌うとだけあって、2日間において披露された曲数は全48曲。5年の歳月の重みを感じさせるラインナップとなったが、その中心に据えていたのが2024年8月28日にされたばかりの2ndミニアルバム『Give Me Five!』。“ライブが盛り上がる疾走感と爽快感”がテーマのアルリリースバム収録曲は5曲とも両日披露され、Day2ではリードトラック「キャンバス」を1曲目に持ってきた。Day1ではデビュー曲、Day2では最新の楽曲で開宴の号砲を撃つことによって、6年目7年目とまだ先の航路を切り開ける未来を見せてくれるようなセットリストになっていた。 そんな「キャンパス」は、人気ロックバンド・PENGUIN RESEARCHの堀江翔太が作曲し、鬼頭が初めて単独で作詞を務めたポップチューン。今まで自身を支えてきてくれた人を思いながら制作した楽曲は、サビの一部に観客から発してほしいレスポンスも盛り込まれており、真っ白なキャンパスを会場全体で徐々に染め上げるように進行していく。 ライブ中の印象的な場面の一つに、鬼頭が右耳に手をやる仕草が散見されたことがある。当初はイヤモニの位置を修正しているのかと思ったが、これは観客が声を出す楽曲の際に会場の声を聴くためイヤモニを外して聴いていたからだと、後のMCで明かされた。『Give Me Five!』は、皆で声を出して楽しめる曲を軸に据えていることもあり、アルバムの楽曲がこの現場で完成されていく様を鬼頭も存分に楽しんでいるようであった。 Day1の終わりには、アーティスト活動との向き合い方について鬼頭の思いの一端が分かるシーンも。「声優のお仕事は自分のためにやっているというか、自分が色々なキャラクターの人生を歩みたいというのがまず一番にあって。アーティスト活動は何のためにやっているんだろうと考えた時に、ライブに来てくれる皆のためにやっているんだろうなと。歌を始めて、より皆に気持ちを届けなければという気持ちが芽生えて、演技との相乗効果でより歌に気持ちが込められるようになったので、私も歌でお返しがしたいなと思うようになりました」。 その感謝と5周年のお祝いを伝えるために、鬼頭には秘密のサプライズ企画が仕込まれていた。それはDay1で入場時に里民たちに渡された一輪の花と趣旨を説明した一枚の紙。紙には、アンコールラストの「君の花を祈ろう」の落ちサビに入った瞬間に花を掲げようというもの。 これは、まだコロナ禍にあって観客の声が出せない2020年の1st LIVE TOUR「Colorful Closet」で、鬼頭へのメッセージを伝えるボードを掲げたサプライズ企画のリバイバル版であったが、肝心の鬼頭は歌の世界に入り込み、時には目を瞑っていたために気づかないまま。サプライズは大成功とはいえなかったが、歌唱後に気づいた鬼頭は笑顔でDay1公演を締めくくっていた。そしてDay1のサプライズ企画のリベンジとして、Day2には全楽曲を歌い終えた鬼頭のもとに、花束を持った椿本プロデューサーが歩み寄った。