さらばランエボ!最後の三菱「ランサーエボリューションX」ファイナルエディションは430万円/1000台が秒で完売【今日は何の日?10月1日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、WRCで活躍して一世を風靡した三菱自動車「ランサーエボリューション」の最終世代「ランエボX(テン)」が誕生した日だ。1992年のデビュー以来、WRCでの大活躍で一世を風靡したランエボも、ついに10代目ランエボXで栄光の歴史に幕を下ろしことになったのだ。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代ランサーエボリューションのすべて、新型ランサーエボリューションXのすべて ■10代目をもって栄光のランエボが終焉 三菱・ランサーエボリューションXの詳しい記事を見る 2007(平成19)年10月1日、三菱自動車は人気の高性能スポーツセダン「ランサーエボリューションX(テン)」を発売。高性能な新型MIVECエンジンと4WDシステムを組み合わせた、最後のランエボを飾るに相応しい性能を発揮した。 高性能ターボエンジン+4WDを纏ったランエボの軌跡 初代ランエボは、「ギャランVR-4」に代わってWRCに参戦するために、ランサーGSRをベースにして1992年9月に誕生した。コンパクトなボディに、高性能ターボエンジンと優れた走破性能を誇る4WDを組み合わせた最強マシンは、2500台の限定販売が3日間で完売となり、最終的には7600台まで追加するほどの人気を獲得した。 ・第1ステージ(I、II、III) 初代「ランエボI」のエンジンは、最高出力250ps/最大トルク31.5kgmを発揮する2.0L直4 DOHC(4G63型)インタークーラー付ターボでトランスミッションは5MT、駆動方式はVCU(ビスカスカップリング)付センターデフ式のフルタイム4WDを装備。1994年にホイールベースを100mm拡大した「ランエボII」、1995年には空力性能を向上させた「ランエボIII」に移行、この時点で最高出力は270psに向上。 ・第2ステージ(IV、V、VI) 1996年にベースであるランサーのフルモデルチェンジに対応して「ランエボIV」がデビュー。エンジンは、パワーアップして自主規制値280psに達し、初めてAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)を採用。1999年には、ワイドボディの3ナンバー化した「ランエボV」、1999年には2段リヤウィングなど空力特性の改善と冷却性能を向上させた「ランエボVI」に移行。 ・第3ステージ(VII、VIII、VIII、IX) 2001年に、ランサーがモデルチェンジして「ランサーセディア」になったため、ランエボもセディアベースの第3ステージの「ランエボVII」へ移行した。2003年に、最大トルクを向上させた4G63型エンジンと進化版スーパーAYCを採用した「ランエボVIII」。2005年には、MIVEC(可変動弁機構)を組み込んだ4G63型エンジンとマグネシウムコンプレッサーを採用してエンジン性能は最高出力280ps/最大トルク41.5kgmまで向上。 三菱「ランサーエボリューション ワゴン」 1993年からWRCグループAに参戦し、1995年スウェディッシュラリーの初優勝を皮切りに、1990年代後半~2000年代初期にはスバルの「インプレッサWRX」とともにWRCで大活躍し、世界のラリー界を席巻した。しかし、WRCグループAに参戦したのは、会社事情もありランエボVIが最後となった。 三菱「ランサーエボリューション ワゴン」の全日本ラリー選手権マシン 新開発エンジン(4B11型)で完成度を高めた最終世代ランエボX 2007年のこの日に登場したランエボXのベースとなったのは、国内向けで販売されていた「ギャラン・フォルテス」。しかし、モデル名は海外でも知名度の高いランサーが採用され、ランサーエボリューションがそのまま使われた。 エンジンは、それまで搭載されていた名機4G63型から、新開発の2.0L直4 DOHC(4B11型)MIVECインタークーラー付ターボエンジンに変更され、280ps/43.0kgmを発揮。さらに、トランスミッションは、5速MTに加えてツインクラッチ付SSTを設定。SSTは、ドイツのゲトラグ社が開発したDCT(デュアルクラッチトランスミッション)である。 駆動系については、ACD(オールホイールコントロール)+スーパーAYC+スポーツABSで構成。高い戦闘力を持ったランエボXだったが、この時期すでに三菱はWRC参戦から撤退しており、ランエボXが世界の舞台で活躍することはなかった。 車両価格はGSRの5速MT仕様が349.5万円、ツインクラッチSST仕様が375万円だった。 最終型ファイナルエディションでランエボがついに終止符 2015年、三菱はランエボの生産終了を決断。併せて、限定1000台で特別仕様車「ファイナルエディション」を発売。10代、23年間にわたって進化し続け、ラリーマシンの代名詞となったランエボだが、2016年をもって終焉を迎えた。 ランエボXをベースにしたファイナルエディションは、同一エンジンながらNa封入排気弁の採用などのチューニングによって、313ps/43.7kgmにパワーアップ。またスタイリングは、フロントグリルの周囲を取り囲むモールがダーククロムメッキに変更されているのが特徴である。 販売価格約430万円で限定1000台は、アッという間に完売となり、倍の1000万円以上で取り引きされた個体もあったようだ。 ・・・・・・・・ ランエボXとファイナルエディションは、最後のランエボを飾るに相応しい魅力的なモデルだった。一世を風靡して名声を得たランエボが、最後に意地を見せたのかもしれない。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純