『エマニュエル』謎の男を色気たっぷりに好演 話題作続く日系俳優ウィル・シャープに注目
世界中でセンセーションを巻き起こした映画『エマニエル夫人』(1974)を、現代に生まれ変わらせた映画『エマニュエル』(2025年1月10日公開)。劇中でエマニュエルを誘う謎の男を魅惑的に演じた、監督・脚本家としても活躍する日系イギリス人俳優ウィル・シャープに注目してみよう。 【写真】エマニュエルに快感の鍵を与える謎の男性を演じるウィル・シャープ エマニエル・アルサンによる官能文学の傑作『エマニエル夫人』。1974年にはジュスト・ジャカン監督、シルヴィア・クリステル主演で映画化され、全世界を熱狂で包んだ。あれから50年の時を経て、全世界を虜にしたあの“エマニエル夫人”を現代的にアップデートして生まれ変わらせた『エマニュエル』が誕生。エマニュエルは仕事でオーナーからの査察依頼を受け、香港の高級ホテルに滞在しながらその裏側を調べ始める。ホテル関係者や妖しげな宿泊客たちとの交流は、やがて彼女を禁断の快楽へといざない―。 監督は、前作『あのこと』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞、ルミエール賞作品賞を受賞し、英国アカデミー賞、セザール賞の監督賞にノミネートされたオードレイ・ディヴァン。舞台を現代に変えて、観る者にめくるめく興奮と陶酔、さらには幸福感までも与えるエロティシズムを、大胆かつ刺激的に描き切った。主演を務めるのは、『燃ゆる女の肖像』『TAR/ター』のノエミ・メルラン。セレブが行き交う高級ホテルで、人間の危険な欲望に果敢に向き合うエマニュエルの脆さと強さを体現している。 思うような満足を得られない女性が、香港で様々な人々と出会い、真の快感を追い求めていく様子をサスペンスフルに描く『エマニュエル』。そんな本作で、ホテルの品質調査の仕事のため、香港を訪れた主人公エマニュエルが偶然にも飛行機とホテルの両方で出会うミステリアスな男性ケイ・シノハラを演じたのは、ウィル・シャープ。ウィルはイギリス人の父と日本人の母を持つ日系イギリス人。ケンブリッジ大学を卒業後、ジュディ・デンチやレイフ・ファインズなど英国の名俳優を多く輩出したロイヤル・シェイクスピア・カンパニーに参加し、演劇を学んだ。 その後、ドラマ『Giri/Haji』や『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル シーズン2』で独特の存在感を発揮する傍ら、ベネディクト・カンバーバッチ主演映画『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』では監督と脚本を務め、さらには野田秀樹作品『表に出ろいっ!』の英語版『One Green Bottle』の英語翻案も担当するなど、多才なマルチプレーヤーとして映画・演劇業界から注目を集めている。 本作でウィルは、神出鬼没にエマニュエルの前に現れ、彼女に快感の鍵を与えるガイド役となる謎の男を色気たっぷりに演じている。ディヴァン監督は「ウィルは、ケイ・シノハラという人物にミステリアスな部分を持たせるため、イギリスと日本のハーフである彼自身のルーツや文化的背景を掘り下げたいと言ってくれたので、私たちはじっくりと人物像について話し合いました」と述懐。 そして「ケイはミステリアスでゴーストのような存在にも思われます。いかに魅力的なゴーストにするかについて、彼とはかなり話し合いました。ある瞬間、観客は『ひょっとするとこの男はファンタスムの幻影かも知れない』と感じると思います。監督としても活躍する彼と、映像でどう表現するかを共に考えるのはとても充実感のある作業でした」と、クリエイター同士として丁寧にキャラクターを作り上げていったことを明かした。 またウィルは、現在賞レースをにぎわせているジェシー・アイゼンバーグ監督・主演作『リアル・ペイン~心の旅~』(2025年1月31日公開)にも出演し、温厚なホロコーストツアーのガイドを演じている。今後、ケイ・シノハラ役とのギャップに思わず魅了されてしまう観客が続出するかも?話題作への出演が続き、さらには自身の監督作のプロジェクトも進行中だというウィルの魅惑的な存在感にも注目だ。 映画『エマニュエル』は2025年1月10日より全国公開。