2024-25年秋冬メンズコレ取材24時Vol.1 「グッチ」メンズ新章の衝撃を“ある意味”上回ったブランドとは
ゲストが席に着いて会場が暗転すると、激しく行き交うライトと強いビートに徐々に没入していきます。それからモデルが1人ずつランウエイに登場し……という原稿を頭の中で書いていたのですが、行き交うライトと強いビートがなかなか終わりません。あれ、もしかしてこのまま終わる?と視線を交わすゲストがパラパラ出始めた頃、黒い幕がバンと巨大セットを覆い、パーラパーという音が流れます。なるほど、腰のロープを外す工程を隠して、モデルが順番に出てくるのか……と原稿を頭の中で修正していたのですが、パーラパーが全然終わりません。一生分のパーラパーを聴きながら、スマホで動画撮影をし始めて4分以上経っても結局何も起こらず、終わった雰囲気も特になく、席を立ち始めるゲストが出始めます。斬新すぎる。そう思って大阪トリオも席を立とうと油断していると、マーベル映画のように最後の最後に幕がゆっくり降りてきました。その幕も中途半端な位置で停止し、パーラパーが響いた時点でトラブルだと確信します。
本当はもっと歯切れのいい終わり方だったそうなのですが、ファッションショーにトラブルはつきもの。残念ながら服はほとんど見えなかったものの、現場スタッフやモデルたちの無念は、必ずや次の機会に生きるはず。
20:00 「ディースクエアード」
昨シーズンのランウエイに登場した、武田久美子を彷彿とさせる“貝殻ビキニ”ルックの記憶が新しい「ディースクエアード(DSQUARED2)」。今季はどんなルックで楽しませてくるの?とワクワクさせられる、稀有なブランドの一つです。コレクションのタイトルは、変身・変形を意味する“Meta Morph”というあまり聞き慣れない言葉で、未来的なイメージだという事前情報から、次はピンク・レディーがくるのかなどと想像していましたが、ショーを見た後はその意味がよく分かりました。
まず、ランウエイに登場したのは、泥や雪が飛び散ったタータンチェックシャツや激しいダメージ加工のジーンズ、破れたスエットに経年劣化のニュアンスを付けたレザーのアウター。ブランドらしいグランジ感を強調するアイテムを、雪山登山やウエスタン、ロック、ワークウエア、ミリタリー、Y2K、ストリートなど、スタイルが縦横無尽に交差します。