「太陽フレア」が発生するとスマホの通信ができなくなるって本当なの?
過去、太陽フレアの発生時に起きた事故の例:スターリンク衛星の機能停止
スターリンクは、イーロン・マスク氏がCEOを務めるSpaceX社が提供している衛星インターネットサービスです。地上のスターリンク端末と人工衛星間で通信を行い、インターネット接続を可能にしています。 端末のセットアップが簡単なこともあり、従来は通信インフラを整えることが難しい被災地や戦地、辺境地域でのインターネット利用も実現可能です。また「夏フェス」に代表されるモバイル通信に障害が発生しやすい大規模イベントの、柔軟かつ大規模な通信環境整備にも役立ちます。 将来的には固定回線に依存しない上に柔軟性が高い通信インフラとして、衛星インターネットはほぼ確実に国内でも定着するでしょう。 先述した通り、太陽フレアは人工衛星にも影響を与えます。2022年には、太陽フレアとそれに伴う磁気嵐の影響で、スペースXが打ち上げた多数のスターリンク衛星が機能停止するトラブルがありました。 具体的には同社が打ち上げた衛星49基のうち、40基が機能停止したものとみられ、磁気嵐による衛星被害としては過去最大級と言われています。衛星インターネットや、GPS衛星による測位がさらに普及した場合、太陽フレアと磁気嵐は一種の「宇宙災害」としてますます無視できない存在になり得ます。 ■2017年にはGPSに10メートルのズレも発生 2017年には、太陽フレアの影響でGPS測位に最大10メートル程度のズレが生じたケースもありました。なおこのときに発生した太陽フレアは「10年に1度」の規模でした。 今後「自動運転の自動車」や「ドローン」が増えた場合、それらのナビゲーションにはGPSがほぼ間違いなく利用されるでしょう。すると太陽フレアと磁気嵐の発生によって、10メートル、GPSがずれると「大規模な交通事故」を招くリスクもあります。
「100年に1度」の巨大な爆発が起きた場合はどうなる?
「10年に1度」の太陽フレアでも、GPSが10メートルずれるという大きな影響が地球に及びます。先述の通り、GPSの10メートルのズレは自動運転社会の到来などを見越した際には無視できない事象です。 そして2025年には太陽フレアはピークに達するとみられます。では、仮に100年に1度レベルの巨大な太陽フレアが発生した場合、何が発生する可能性があるのでしょうか? まずは通信障害。スマホは2週間ほど断続的に利用できなくなり、緊急通報(110番や119番)もつながりにくくなる恐れがあります。 また2017年に発生した「GPSの10メートルのズレ」に代表されるように、GPS精度の低下も予測されます。 たとえば: ・カーナビが正確でなくなる ・配送業に影響が及び、流通に障害が発生する ・自動運転車やドローンの事故が発生する といった事象が起こる可能性があります。 ■巨大な停電も予想される さらに大規模な停電の可能性も懸念されています。太陽フレアによる磁場の乱れが、変圧器の故障や広範囲にわたる停電を引き起こす可能性があるためです。たとえば1989年の太陽フレアでは、カナダで10時間に及ぶ停電が発生した事例もあります。