オーシャンズ編集部・三橋がボルボ「EX30」に試乗!“近未来的”ガジェットカーに車の概念が変わる?
施設内は開放的でゆったりとした時間が流れる。それもそのはず。こちらで車両販売はしておらず(その場で売りつけられる心配なし)、EVに特化した体験型のブランドスペースという位置付け。 ▶︎すべての写真を見る
試乗取材というより、もはやリハビリ状態だが、車への知識や先入観がないぶん、クセの強いこだわりや忖度はいっさいなしということをここに明言しておきたい。
試乗一台目は、ボルボ史上最小の電動SUVである「EX30」。なぜこの車種が気になったかって!? 答えはズバリ、サイズバランス。 “Bセグ”に近いコンバクトなボディは、街乗りで小回りが利いて、ペーパードライバーのオレにだってきっとハートフルなはず。でありながら、居住性や高級感も十分に期待できそう。
そんなイメージを抱きながらこの車の長所をたずねたところ、ブランド・アンバサダーの白川聖樹さんは開口一番、こう答えた。「まずはやっぱり、安全性ですね」。
思わず、膝を打ってしまった。言われてみれば当たり前だが、これぞ車の一丁目一番地。
ほかにいくらでも誇れる、売りになるポイントがあるなかでの“セーフティファースト”。開始数秒で心を掴まれた。ボルボ恐るべし、である。
さて、前置きが長くなったが、肝心の試乗とそのフィーリングはいかに。結論から言おう。「コレ、俺の知っている車じゃないぞ」というのが率直な感想だ。
まず鍵がないんですよ、鍵が。いやいや、知ってますって。鍵穴に突っ込んでガチャガチャ回すやつなんてもう過去のものってことは。 今やインテリジェントキーが常識だと思っていたけれど、このボルボには施錠やエンジンをかけるという概念すらないのです。 キータグを持って近づけば開錠し、乗り込めば自動的に発進の準備が整う。そう、何かスイッチを押すというステップさえも省略されているのだ。
サイドブレーキを操作して……なんて動作ももちろんなし。ステアリング右奥のシフトレバーをちょいと下げるだけ。 さらによくよく見たら、通常であれば正面にあるはずのメーター画面すらなく、極限まで削ぎ落とされた機能美の追求は、スカンジナビアンデザインの真骨頂といったところだろう。