愛媛の小学生ユーチューバー・りおなちゃんの素顔 「ちいりおちゃんねる」と笑顔に秘めた思い 前編
動画投稿サイト「YouTube」の「ちいりおちゃんねる」で人気を高め、登録者数158万人という全国的にも有名な小学生ユーチューバーが愛媛にいる。2年生の「りおなちゃん」だ。重い病気と闘いながら車いす生活を送っている。主に家族との日常を母親が投稿しているが、家事をしないパパに鋭い突っ込みを入れるシリーズが、テレビのワイドショーなどで取り上げられて話題になった。この夏休みには大きな手術を乗り越え、新学期から元気に学校生活を送っている。パワフルな7歳のりおなちゃんの素顔に迫る。 動画で見せるパパとのテンポいい掛け合いは多くの人を魅了している。中には、再生回数1500万回を超えるものも。「返しのアドリブが天才!」「ママの味方でありつつパパへの愛も感じる」。毎回数千件のコメントが寄せられる。 明るくお笑い好きのりおなちゃんだが、動画配信の裏側には、深い理由がある。 ■下半身まひ 絶望 りおなちゃんは5歳の時に背骨が曲がる「側彎(そくわん)症」の矯正手術を受け、それがきっかけで下半身まひになった。 母親の佳寿美さんによると、「側彎症」と診断を受けたのは2歳の時。当時歩行に支障はなかったが、医師からは曲がりがひどくなって肺や心臓を圧迫するようであれば手術すると言われていた。 4歳半の頃、年1回の定期検査で、エックス線写真を見た医師の顔色がみるみる変わった。「側彎が急激に進んでいます。すぐに手術した方がいいかもしれません」 こうして背骨の成長を温存したまま側彎を矯正する方法で、手術を受けることが決まった。佳寿美さんは「『歩いた時に苦しくなるのもなくなるし、背も伸びるようになるよ』って伝えていたので、りおなは『頑張ったら治るんだね』と前向きに捉えていたんです。でも…」。事態は、悪い方へ急転した。 2022年5月。手術当日、6時間に及ぶ予定のはずが、1時間経過したところで突然終了した。佳寿美さんは、主治医からの言葉に頭が真っ白になった。「りおなちゃんの足が動かなくなりました。手術を中止します」 医師の説明によると、想定以上に背骨が曲がっていたことに加え、うつぶせの状態が続いたことで脊髄がさらに圧迫され、まひが起きた可能性が高いという。 佳寿美さんは言う。「絶望、でした。この子の人生が閉ざされたような、この先普通に幸せにはなれないだろうと、そう思ってしまいました」 娘には、どのように事実を伝えたのか。「やっぱり隠すのは違うと思っていました。この先、足を治すためには必ずリハビリが必要になる。そして頑張るのは本人だから…」。当時5歳のりおなちゃんに、足が動かなくなった事実をありのままに伝えた。 ■「もう歩けないの?」「一緒に死のうか」 「もう背も伸びないし、歩けないの?」。厳しい現実を聞いたりおなちゃんのショックは大きかった。「この子と一緒に死のうかな」。再手術を終えた後、約4カ月にわたる入院期間は「どん底だった」と佳寿美さんは語る。りおなちゃんは下半身の感覚がなくなり、熱い、寒い、痛いも全て分からなくなった。「体が浮いているみたいで怖い」と繰り返し、座ることも、寝返りすることもできなくなった。
愛媛新聞社