【シリア渡航計画で旅券返納】杉本祐一氏が会見「報道の自由を奪われることを危惧する」
「シリア渡航を計画した」として外務省からパスポート返納を命じられ、応じていたカメラマン・杉本祐一氏は12日午前、都内で会見を行い、旅券返納の経緯を明らかにしつつ、「ジャーナリストが報道の自由、取材の自由を奪われることを危惧する。外務省に異議申し立てを行い、場合によっては、法的措置も検討する」と語った。 パスポート返納のカメラマン杉本祐一氏の記者会見、配布資料全文 杉本氏は、旅券を返納した経緯について、2月の2日か3日に外務省から電話があり、「新聞記事をよんで、取材を検討していること知った。今回の取材はやめてほしい」と言われたと説明。その翌日には、新潟県警の中央警察署の警備課長から会いたいとの電話があったため、喫茶店で面会し、「中止して欲しい」「行きます」というやりとりをしたという。警備課長は、家族の連絡先を教えて欲しい、無事に帰ってきて欲しい、とも語ったという。 その後の、7日の午後7時頃、杉本氏の自宅を、外務省領事局旅券課の外務事務官と課長補佐、警察官が2、3名が訪れた。「返納しろ」「しない」というやりとりをしたあと、外務事務官は、岸田外務大臣の名前入りの旅券返納命令書を読み上げ、旅券法の辞典を開いて返納命令について説明。返納しない場合は逮捕する、との語ったという。 杉本氏は、「逮捕されてしまえば、パスポートは没収、事情聴取を受け、起訴され、裁判になった場合の裁判費用もかかる。このリスクを考えた際、パスポート返納に応じざるを得なかった」と返納に応じた理由を説明した。夜7時55分ごろ、外務省の職員らは、「パスポートは、お返しすることはない」と語り、引き上げたという。 また、杉本氏は、記者団からイスラム国による人質が殺害されていることの危険性について問われると、「20年間の取材の経験から、無理はしないと決めており、コバニやトルコ側のアクチャガレの取材を優先して考えていた。イスラム国の支配地域に行くつもりもなかったし、シリアに入るかどうかも、現地の信頼できる仲間と相談して、現地情勢を見極めながら、判断しようと考えていた」と説明した。 杉本氏は、「パスポートを取り戻したい。私の事例が先例になり、他の報道関係者まで、強制返納を命じられ、報道の自由、取材の自由を奪われることを危惧する。できるだけ早く、外務省に異議申し立てを行い、場合によっては、法的措置もとることも検討したい」と語った。 ※生中継およびアーカイブ動画は、当ページ内の動画プレイヤーでご覧いただけます。