国も最大で200万円補助 窓のリフォーム人気の理由は【WBS】
国の「住宅省エネ2024キャンペーン」がスタートし、3月から申請が始まります。中でも窓やドアなどを断熱性の高いものに替える環境省の「先進的窓リノベ」は最大で200万円の補助金が支給されます。なぜ国は今、窓のリフォームを積極的に進めているのでしょうか? 宮城・大崎市にある「YKK AP東北製造所」。窓の製造で国内最大級の規模を誇るこの工場では、サッシなどの内側にもう一つ追加するリフォーム用内窓を生産しています。既存の窓に合わせて取り付けるため、注文生産。組み立ては手作業が中心になります。では、その性能は?
1枚だけの窓の場合、温度の変化を色で表すサーモグラフィーは温度が低く、青い部分が多くなりますが、リフォーム用の内窓をつけると、高い温度を示すオレンジ色になりました。室内の温度差は3度以上になります。 内側に窓を追加することで、窓と窓の間に空気の層ができ、断熱性が高くなるのです。 YKK APでは今、断熱効果を高めるリフォーム窓の増産を進めています。これから春を迎える季節ですが、この時期に増産するのはなぜでしょうか? 「YKK AP東北製造所」の佐藤亮さんは「『住宅省エネキャンペーン』が始まるので、それに備えて増産体制を敷いている。4月までの間に生産能力を全国で4倍まで引き上げて増産対応していく」と話します。 受注が増えることを見越し、YKK APが生産体制を増強した背景にあるのが、3月から申請が始まる国の補助事業「住宅省エネ2024キャンペーン」です。中でも断熱性の高い窓やドアにする「先進的窓リノベ2024事業」の補助金額は最大で200万円。この大盤振る舞いともいえる補助金を支給するのは環境省です。 なぜ環境省が住宅のリフォームに補助金を出すのでしょうか?
「2030年度に家庭部門の温室効果ガスを66%削減(2013年度比)する目標がある。断熱性能を高めて温室効果ガスの削減を進めることにつながる」(環境省・地球温暖化対策事業室の塚田源一郎室長) 冬の時期、暖房している室内の熱が窓から外に逃げ出す割合がおよそ6割と一番多いのです。この逃げ出す熱を減らせれば、電気やガスなどの使用量も減ります。省エネ効果を高めることでCO2の排出を減らすのが狙いです。 「快適な暮らしをしながら、結果としてCO2の削減もされている。そういった形になれば理想だと思う」(塚田室長) 国が後押しする住宅の省エネ化をチャンスと捉え、リフォーム会社も力が入ります。今回の補助事業について「千葉建設工業」の西村直紀さんは「窓関係は今、問い合わせも多い。枚数に制限がないので、(200万円以内なら)窓の枚数が多いほど補助金も多く出る」と話します。 こちらのリフォーム会社によると、窓の数や大きさにもよりますが、3DKの戸建てで10カ所ほどに内窓をつけた場合、リフォーム代は130万円ほど。今回の国の補助金を活用すれば、その半分ほどの金額でリフォームができるといいます。 相談に来ていた客は「冬は寒いので。昔の窓は二重窓ではない。寒いところは内窓にしたい」「こんなに補助金がもらえるとは思わなかった。弾みがつきますねリフォーム。キッチンもやっちゃおうかな」と話します。 リフォーム会社は、窓をきっかけに家全体のリフォームへ 広がる波及効果にも期待を寄せます。 「(リフォームを)考えている人の背中をポンと押す要因になる。補助金を取り扱っている業者には追い風」(「千葉建設工業」の西村さん)