ハワイ版ミシュラン2年連続金賞。日本人オーナーのヴィーガン店「ピース・カフェ」に世界中から人が集まる理由
ワイキキ郊外という決してアクセスがいいとは言えない場所ながら、ほぼ毎日寄るという“ロコ”をはじめ、アメリカ本土や日本など世界各国から訪れる客で賑わっているヴィーガン・レストラン「ピース・カフェ」。日本人オーナーシェフ、Shota氏を突き動かすのは、「おいしく食べて健康になる」という信念と料理人だった亡き父の教えだった。 【写真】ピース・カフェの料理、店内etc.
日本料理の技と知恵を生かした“おいしいヴィーガン”
ハワイ版ミシュランと言われる「ハレ・アイナ・アワード」の金賞を2年連続受賞するなど、数多くの賞に輝く「ピース・カフェ」。同店を10年前から率いているのが、日本で和菓子店や懐石料理店で腕を磨いてきたオーナーシェフのShota氏だ。多くの人々を魅了する「おいしくて、体にいい100%ヴィーガン料理」は、なぜ、どのようにして生まれたのか。その軌跡を紐解く。 ――まず、「ピース・カフェ」のコンセプトや提供している料理について教えてください。 体にやさしく、おいしい食事を、安全に、楽しく召し上がっていただくことをコンセプトに、100%ヴィーガン料理を提供しています。食材はオーガニックや地元のハワイ産にこだわり、地球に負荷をかけないものを選び、調味料も原材料から厳しくチェックし、安全でおいしいものだけを使用しています。調味料の場合、精製されている上白糖は一切使わず、メープルシロップやデーツ、レーズンなど自然の甘みを活かしたり、小麦粉が添加されている醤油の代わりにグルテンフリーの“たまり醤油”を使ったりといった具合です。 店に、アルカリ水素水がつくれる生成器を設置しているのですが、これはドリンク類だけでなく、調理の際にも活用しています。水素は超微粒子なので、食材にしっかり浸透する性質があるんですよ。ちょっと怖い話ですが、農薬を使った野菜をアルカリ水素水で洗うと、水が真っ黄色になる。野菜に染み込んでいた農薬が、アルカリ水素水によって洗い流されるからです。当店では、もちろん農薬も化学薬品も不使用な食材しか使っていませんが、ほんの少しの危険性も取り除きたいと思っています。 ――安心して食べられるだけでなく、おいしさにも定評があります。その理由はどんなところにあるのでしょうか。 僕のルーツは日本料理なので、その技や知恵を生かし、ていねいな仕事にこだわっています。店の人気メニュー、「RAMEN」で使っている辛味調味料は、白コショウをベースに一味唐辛子や燻製させたチリなど10種類ほどの香辛料を昆布にはさんでコンテナで半年ほど寝かせてつくったもの。これは、日本料理でよく使われる手法をアレンジしています。うま味調味料にしても、市販のものではなく、昆布と乾燥しいたけを乾煎りし、ブレンダーでパウダー状にした自家製を使っていますが、この組み合わせも日本料理では基本中の基本ですから。 また、定番メニューのひとつ、卵の代わりに豆腐を使った「豆腐スクランブル」は、ターメリックで黄色を出しているんですが、ターメリックには抗酸化作用の強いクルクミンという成分が含まれています。この吸収率を高めてくれるピペリンを含むコショウを味つけに使っていますが、こうした栄養素の相乗効果を考えながらつくっていることも、おいしさにつながっているのだと思います。