特集「キャッチ」多国籍のプロ球団が佐賀に誕生! 言葉と文化の壁を越え「初勝利」目指す チームをつなぐのはインドネシア人の父と日本人の母を持つ22歳
違いを尊重しながらの寮生活
言葉だけではなく宗教も異なる海外の選手たちは、地元の企業が無償で提供する佐賀県嬉野市の寮で生活をともにしています。 寮のキッチンには多国籍チームならではの工夫があります。 ■タカハシ選手 「ムスリム(イスラム教徒)の人は豚がダメなので、基本そっちのコンロはムスリムの人で、こっちは食べ物の制限がないので、スリランカ人が使うという感じ。」 冷蔵庫にもイスラム教徒専用のスペースがあるなど、それぞれの生活を尊重できる工夫が詰まっています。
開幕を5日後に控えたこの日、本拠地、ひぜしんスタジアムで初戦のメンバーを決める紅白戦が行われていました。普段は仲が良い選手たちも、グラウンドではそれぞれがライバルです。 タカハシ選手の目標であるスタメンに名を連ねるには、この試合で結果を残さなければいけません。 ■タカハシ選手 「あー、もう野球やめたい。」 守備・打撃ともに見せ場を作ることはできませんでした。プレーヤーとしての目標に加え、チームの言葉の架け橋になる。気づかぬうちに大きな責任を背負い込んでいました。 そんなタカハシ選手に寄り添ったのは、キャプテンのリズキー選手です。ライバルも苦しいときは互いを支え合う仲間です。来日から1か月足らずですが、少しずつ結束力を強めていました。
4月13日、迎えたチーム初陣の日です。 ■審判 「プレイ。」 佐賀インドネシアドリームズにとって、歴史的な一戦が幕を開けます。この試合、タカハシ選手の姿はベンチにありました。 ■タカハシ選手 「切り替えて、ベンチでできることはやっていきたいなと。」 初戦での白星を目指すインドネシアドリームズですが、初回から連打を浴び3点を失います。 その裏、インドネシアドリームズの攻撃、打席には1番のサミーラ選手。いきなりチーム初ヒットが飛び出します。しかし、後続は続かず無得点でした。 その後は相手の勢いを止めきれず、点差を離されていきます。 6回、一矢報いたいインドネシアドリームズは先頭打者がヒットで出塁しました。 ここで打席に向かったのは、代打・タカハシ選手です。 ■タカハシ選手 「つなぐ意識しかなかった。」 タカハシ選手は積極的にバットを振ります。そしてカウントは3ボール、2ストライクとなった6球目。変化球に手が出ず、見逃し三振となりました。 ■タカハシ選手 「まずはエラーも多かったし、自分の長所が全然アピールできなかった。自分に怒りが。」