大みそかに井岡一翔が挑むリベンジマッチ ~最高難度の世界王座復帰
偉大な選手でも難しいリベンジマッチ
逆に失敗例(リベンジマッチでも敗北)はいくつもある。 日本初の世界チャンピオン白井義男がそうだったし、カリスマ辰吉もタイのウィラポン・ナコンルアンプロモーションには野望を断ち切られてしまった。近年の大チャンピオン、内山高志や山中慎介がリターンマッチでも勝てなかった。 長く防衛を続ける安定チャンピオンが意外な敗北を喫し、再戦で連敗してしまう例は日本に限らず海外でもよくある。防衛ロードの間にボクサーとして下り坂になっていたり、初戦の敗北で張りつめていた緊張の糸が切れてしまい再戦も散々な結果に終わった元チャンピオンもいる。あるいは実際に戦って負けた相手への苦手意識を知らず抱えていたというケースもある。チャンピオンから挑戦者に立場を変えて臨むリターンマッチはかくも難しい。 それではこの男の場合はどうか。大みそかにフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に挑む前チャンピオンの井岡一翔(志成)。7月の第1戦はIBF(マルティネス)vs.WBA(井岡)の統一戦として行われ、激闘の末打ち勝ったマルティネスが2本のベルトを束ねた。そして今回、約半年ぶりのダイレクト・リターンマッチが実現するのである。 この間にマルティネスはIBF王座を返上したため、争われる世界タイトルはWBAのみだが、井岡にとってこれがリベンジ&世界王座復帰をかけた大一番であるのは変わらない。 こと再戦に限れば、井岡は26戦もの世界戦キャリアで3度経験しており、いずれもしっかり勝利している。同じ轍を踏まないスマートさこそ井岡が「再戦に強い」とされる根拠だが、それでも最初のマルティネス戦が明白な判定だっただけに予想不利は否めない。そのぶん井岡が勝った時の見返りは非常に大きいと言えるのだが――。
VictorySportsNews編集部