街クラブ『KAGO』のMARUコーチが語る創設からの15年間(後編)「大きな夢を目指せる人材を育てたい」
「正解がないからこそ、それを追い求めることが大切」
──今後はどのようなことを行っていきたいですか? まずはコーチの育成ですね。KAGOの指導方針は独特で、どこに行っても「変わっているね」と言われるので、KAGOの外で育ってきたコーチが感覚をつかむのにかなり苦労するんです。現在、大阪・福岡など5拠点で約50人のコーチがいるんですが、彼らにKAGOのフィロソフィーを落とし込むアプローチについては、まだまだ模索中です。 ──「独特」な指導方針について、ぜひ教えて下さい。 簡単に言うと「上の子が下の子の面倒を見ること」です。子供たちが憧れるのって、ちょっと年上の先輩じゃないですか。なので、下の子は上の子が面倒を見させて、コーチは上の子たちを引っ張り上げることに注力するというやり方を徹底しています。自分で教え込もうとしてしまうコーチには「今は子供たち自身でスイッチを入れなきゃいけない時間だから口を出さないで」というようなことも言ったりしますね。 もう1つはプレーのディテールにこだわる選手の育成です。選手も指導者も小さなこだわりが実力差に繋がります。ボールを保持する位置やちょっとした足の角度などといった細かい指示を聞いて、見て、それを表現できるようになれば、どのカテゴリーでもコーチの要求にスムーズに対応できる選手になれる。なのでKAGOでは「(人の話を)聞く」、「(プレーを)見る」、「わからなかったら質問する)喋る」、そういったスキルを選手も指導者も大事にしています。 ──先ほどのお話にもつながりますが、自問自答し、試行錯誤する姿勢が大切なのですね。 はい。矢印を自分に向けるのってすごく苦しいし難しいし、大人になって「人の話を聞きなさい」と言われるのはしんどいと思います。でも選手たちは同じことをやっているわけじゃないですか。一度言われたことを繰り返さないよう、成長する。それができるかできないかだけなんですよね。育成って正解がないものですし、頑張れば結果が出るわけではありません。だからこそコーチが常に正しい頑張り方を追求していく姿勢が大切だと思います。 ──改めて、KAGOとしてどんな人を育てていきたいか、お聞かせ下さい。 大きな夢を目指せるような人材ですかね。好きなことを全力で追求できるような人が増えればいいなと思うし、それが日本を豊かにする、バスケットを盛り上げるっていうことに繋がるのかなと思うので。大人も子供も一緒になって、でっかいものを目指して、考えて、成長して、それぞれの答えを探し続ける。それが一番綺麗なのかな。とにかく楽しい人生を送ってもらえたらうれしいですね。