余白が幸運を呼び込む
余白はめぐり合わせを呼び込む
そのフィードバックをもらってしばらくすると、周囲からなぜか「軽やかになった」と言われるようになりました。言われてみると、たしかに、以前よりも余裕のようなものが生まれているのを感じます。おそらく上司から言われた「余白」の一言が、だんだんと作用したのでしょう。 メンバーと仕事をするときに、相手が理解できるように説明しなくてはならないと思い込んでいた自分がいることに気づき、いつものパターンを少しずつ手放していったのだと思います。そして、隙間や余白をつくったほうが自分も周囲もうまくいく体感をもてるようになって、新たな可能性を楽しむことができるようになったのかもしれません。 しかし一方で、余白は怖いものでもあります。成果を上げること、スピードを上げることに焦点が当たると、つい余白を埋めてしまいそうになる自分がいます。何もしていない時間が怖いのです。そして、頭では余白は大切だとわかりながらも、つい缶にクッキーをパンパンにつめてしまいそうになる。 真っ白な空間に、自分はどう働きかけ、どんな意味づけをしていくのか。余白の活かし方を常にイメージしておくことも大切なことかもしれません。 ChatGPTに「余白」の意味を尋ねると、一番最後に「運、めぐり合わせ」という言葉が出てきました。考えてみれば、バンコクを離れ日本に帰任した現在は、私の仕事人生における一つの「余白」なのかもしれません。 今年の七夕は、短冊に願いごとをぎっしり描くのではなく、白紙のまま竹につり下げました。 あなたはどんな余白の持ち方をしていますか?
【著者】 望月寛 株式会社コーチ・エィ 執行役員 国際コーチング連盟プロフェッショナル認定コーチ 一般財団法人 生涯学習開発財団認定マスターコーチ 慶應義塾大学法学部政治学科卒業/青山学院大学大学院国際マネジメント研究科修了(MBA) 総合商社の食糧部門にて、20年以上にわたりグローバルビジネスに従事。経営戦略や、クロスカルチャー環境下での組織マネジメント、20か国以上の取引先の経営陣との交渉経験を通じ、経営者の判断、周囲との関係性を築く能力、個人と組織の行動変容に強い関心を持つようになる。コーチ・エィに入社後は、各種製造業、金融、商社、物流、情報などの上場企業、大手非上場企業、オーナー企業の経営者、経営層に対するエグゼクティブ・コーチングを通じ、組織開発、リーダー開発プロジェクトを企画運営している。自らの海外拠点経営に携わる経験を活かした海外拠点経営者のトランジション、現地社員との共創による次世代リーダー開発、組織変革実現に向けたコーチングに定評がある。2022年より現職。アセアン事業を統括。
望月寛(コーチ・エィ)