石破首相、衆院選で政活費使用を示唆 党首討論 「適法の範囲内で使うことは否定しない」
衆院解散に先立ち国会で9日に開かれた党首討論で、使途が公表されず事実上の裏金と指摘される政党の政策活動費が取り上げられた。野党側は15日からの衆院選で使わないよう迫ったが、自民党総裁の石破茂首相は応じず、激戦区などで使う可能性を示唆した。水面下で資金を投入する従来型選挙の継続姿勢が際立った。 自民、裏金議員の非公認計12人 旧安倍派の6人追加、衆院選 野党党首が順次論戦を挑んだ党首討論。国民民主党の玉木雄一郎代表が政策活動費で切り込み「(今回の衆院選で)1円も政策活動費を使わないことを明言してください」と求めた。 だが石破首相は逆に「政策活動費を使うことはある」と断言。さらに「いろんな党と厳しい戦いをしている地域もある。適法の範囲内で使うことは可能性としては否定しない」と述べると、野党議員らが傍聴する会場からどよめきが上がった。 「どのように使うのか」「支出を公開するのか」と質問を重ねる玉木代表に対し、「適法、適切にやる」と繰り返す石破首相。「どの党も一緒でしょう」と発言した場面では、玉木代表から「われわれは使わない。何に使い、誰に渡したか分からないお金で選挙をやったら、選挙がゆがむ」と猛反発を受けた。 自民党派閥の裏金事件で政治不信は高まり、衆院選では「政治とカネ」が問われる。「公開の義務がかかっていないお金は一切使わず、この選挙をお互い堂々と戦う。新しい政治をつくり上げていこうと明言して」。玉木代表からそう促された石破首相は「自民党は何でもやるのかと指弾を浴びることがないよう、お金の使い道には心して望みたい」と述べたが、政策活動費の封印を約束することはなかった。 政策活動費は、政党が党幹部らに渡す資金。受け取った幹部らが何に使ったかを政治資金収支報告書に書く義務はなく、使途は公開されない。自民党の元幹部らによると選挙の激戦区に投入されることがあるという。 金額は与党の自民党が突出して多く、2022年は約14億円を支出。そのうち10億円弱を茂木敏充幹事長(当時)が受け取っていた。19年の参院選広島選挙区で起きた大規模買収事件では、主犯の河井克行元法相に当時幹事長の二階俊博氏が3300万円、党選挙対策委員長だった甘利明氏が100万円を提供した疑惑があり、その原資として政策活動費が疑われている。 石破首相は12~14年に幹事長を務めた。この日の党首討論では日本維新の会の馬場伸幸代表が「(首相が)幹事長を務めた2年間で17億5千万円が支給されている。どんなことに使ったのか」とただした。首相は「政策活動費は廃止を含めて議論したいと思っている」と述べた一方、幹事長在任中の具体的な使途は説明しなかった。
中国新聞社