【平成から次代へ オカルトどう変わる】 子どもだまし終わらせリアル追求へ 山口敏太郎氏に聞く
生き残るヒントはプロレスから 新日本に対するUWF
山口氏によれば、従来はオカルトというと何でも否定する否定論者と、逆に何でも肯定する妄信者の2つのタイプしかなかったのだとか。 「それらとは違う第3勢力として僕が出てきて、嘘は嘘とハッキリ言っちゃう。でも、8割ぐらいは否定しても2割程度はわからない、不思議なものが残っている、そんなスタイルで出て行ったんです」 その独自路線には、実はモデルがあった。 「プロレスですよ。アントニオ猪木が作った老舗の新日本プロレスと、そこを離脱した前田日明ら一部の選手たちが格闘技寄りのスタイルで新しく作ったUWF。80年代後半から90年代にかけて、ファンの間でもイデオロギー闘争があったわけですが、UWF(第一次と第二次があるが、ここではおもに第二次)は新日本などがやっていた旧来のプロレスを否定することで大ヒットしたわけです。ロープに振っても返ってこない、場外乱闘もない。それにヒントを得て僕はオカルトや不思議な世界について、何でも肯定する旧来のオカルト雑誌や番組などのスタイルを否定し、嘘は嘘とハッキリ言っちゃうことを始めたんです」 山口氏は、プロレス報道で知られる東京スポーツ紙や、コンビニ雑誌や書籍の版元に着目し、主戦場とするようになった。 「コーヒーと弁当、そしてコンビニ本を抱えて、昼休みにメシ食いながら、『これホントかな?』なんて楽しむようなコンビニ世代にウケるんじゃないかと。もう十数年前のことですが見事に当たって。中身も、この件は嘘だってストレートに書いているから、大人のニーズに耐えるんです」
“UFOに宇宙人”はもうダサい ネットが変えた価値観
それらの戦略は、タイミング的にネットの普及にも適合した。 「いまや高校生だって海外のサイトをソフトで翻訳したり、簡単に裏が取れる時代です。たとえば昔はアメリカで起きた不可解な事件を、翻訳して出すことで儲けるビジネスモデルがあったんです。海外の事件を翻訳する翻訳家のオカルト研究家ですね。でもいまは、完全になくなりました。事件の翌日にはウチのニュースサイトATLASが出しちゃうので。だからこそ、嘘は嘘と本当のことを書こうと。メルマガやYou Tube、ニコ生、Facebookも初期からやっていますし、それらのファンが、ライブなどのイベントにも来てくれるんです」 果たして山口氏は、次の時代にはオカルトや不思議な世界はどう変わると見ているのだろうか。 「一定数オカルト好きな層は世界中に存在していて、昔はファンタジーを求めたんですが、いまはリアルを求める傾向が強い。リアリティーがない話は、切り捨てられちゃう。いまだにUFOに宇宙人が乗っているっていうのはダサい。いまは、UFOはエネルギー体であって金属ではないんじゃないか。何かが乗っていたとしてもタイムトラベルしてきた未来人とか、違う次元から来た異次元人じゃないかなとか。UMAも実は環境汚染による突然変異の生物ではないだろうか、とか」