【映画『かくしごと』杏さんインタビュー】杏さんが何度見返しても泣いてしまう、“罪深い一言”とは!?
『かくしごと』ってこんな映画
絵本作家の千紗子(杏)は、ずっと疎遠にしてきた一人暮らしの父親(奥田瑛二)が認知症を発症したため、田舎に帰って来る。厳しかった父は、いまでは娘のことさえ忘れてしまったかのよう。ある日、久しぶりに再会した旧友の久江(佐津川愛美)と遊びに出かけた帰り道、久江が運転する車が夜道をフラフラ歩く少年(中須翔真)をはねてしまう。幸い大きなケガはないが、目覚めた少年は記憶を失っていた。彼の身体に激しい虐待の痕を見つけた千紗子は、少年を匿うことに。やがて自分の子供として育てることを決め、自分が母親だと嘘をつき、「拓未」と名付けて一緒に暮らし始めるが――。
観ながら思わず“助けてあげて!”と千紗子を応援せずにいられませんでした。杏さん自身は、千紗子の選択や行動をどのように感じましたか? 「実際にニュースなどで見聞きして、小さな子どもや動物など立場が弱かったり自分で選べず巻き込まれてしまう存在に対して、年を重ねるにつれどんどん思い入れが強くなったというか、思いを馳せることが多くなっていたんです。そんなところに千紗子というキャラクターが飛び込んできました」 「ある悲しいバックグラウンドを持つ千紗子は、社会的な倫理やルールをひっくり返してでも、今、目の前にある命を助けようとします。私自身ならきっと、まず倫理やルールに照らし合わせた行動をしてしまうと思いますが、千紗子は普通なら不可能なことを可能にしていく力があります。そんな千紗子を、やっぱり私も応援したくなりました」
本作には、“もし自分なら!?”と突きつけるパワーがあります。だから終始ドキドキしてしまって……。 「いつもニュースを見ながら、勝手に“助けたい!”と思うことがあっても、実際には出来ませんよね。それを千紗子が叶えてくれたというか……。善悪はさておき、法に触れたらマズいぞと分かりつつも、まずは“この子を助ける!”と真っ直ぐに体現した千紗子の行動力は、やっぱりスゴイしカッコいいな、とは思いますね」 そうなると脚本を読んだ瞬間、すぐに千紗子を演じたくなったのでは!? 「それは、逆にあまりなかったですね。というのも少年を演じる(中須)翔真君ありきだな、と思っていたので。例えばラストシーンでは、私はどういう感情が一番に出てくるのか全く分からなかったんです。そうしたら翔真君のあの淡々とした演技というか表現に、背中に雨垂れが落ちて来たようにヒヤッとして、“怖い…”と思って。もちろん愛しさや悲しさがないわけではない。でも“怖い”という感情が最初にバッと入って来て、そんな感情を抱かされたラストシーンで、“わ、これは思っていた以上にミステリー作品なんだな”と強く思わされました」