過去最多掲載「ミシュラン東京2025」を読み解く 「世界で最も星が多い都市」という称号が東京につき続ける理由
10月17日、「ミシュランガイド東京2025」が発表された。 掲載軒数は過去最多の507軒。 【写真】開業してわずか4年で三つ星に昇格したフランス料理店「SÉZANNE (セザン)」 ミシュランガイドが欧米以外で初めての都市として日本に上陸したのは2007年。以来18年、ミシュランは掲載軒数を増やすことによって紹介するレストランのすそ野を広げてきた。 日本国内では、2024年時点で東京のほかに京都・大阪・奈良の4都市でセレクションが発表されている。過去には「特別版」として、北海道をはじめ東北、北陸、九州など17都道府県が掲載エリアになっていたこともあった(2018年ごろ)のだが、現在はこの4都市のみだ。
■「セザン」が開業4年で三つ星昇格 今年の最大のトピックスは、「SÉZANNE (セザン)」の三つ星昇格だ。 「セザン」は「フォーシーズンズホテル丸の内 東京」にあるフランス料理店で、2021年7月に開業した。半年後には早くも一つ星を獲得、翌年には二つ星に昇格。開業してわずか4年で三つ星に到達した。 総料理長 ダニエル・カルバート氏は1987年生まれ。英国出身で、前任地である香港「ベロン」では「アジアのベストレストラン50」4位の実績を持つ。
「セザン」は2024年に「アジアのベストレストラン50」で1位を獲得しており、今回の三つ星昇格で、レストラン業界におけるビッグタイトルを立て続けに2つも制覇したことになる。 2025年に三つ星を獲得した12軒のうち、「カンテサンス」「ジョエル・ロブション」「かんだ」は「ミシュランガイド東京2025」が始まってから18年連続の三つ星を維持している。 ■星の位置づけのおさらい ミシュランガイドにおける星の位置づけは次のとおりだ。
三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理 二つ星:遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理 一つ星:近くに訪れたら行く価値のある優れた料理 ビブグルマン:価格以上の満足感が得られる料理 また、持続可能なガストロノミーを意識し活動している店を顕彰する「ミシュラングリーンスター」には、12軒が選ばれた。 かつては二つ星から三つ星への昇格に10年以上かかるのが普通だったが、最近ではパリ・小林圭氏の「Restaurant KEI」が二つ星から3年で三つ星に昇格(2017年に二つ星、2020年に三つ星)したように、昇格までの年数が短くなる傾向が読み取れる。