スティーブ・ジョブズが語った、情熱以上に大切な起業家の資質とは?
ほんとうに、だれもが起業家を愛しています。そうでしょう? スティーブ・ジョブズとその独創性と短気な性格、リチャード・ブランソンとその大胆な行動、どちらにしても世界を相手にする孤高の天才という考えは共感をよぶものです。特に米国では。 情熱と才能を原動力に夢を追いかけるという概念は、起業家の精神に深く根付いています。 しかし、最近、ある言葉を読んで、私の中で変化が起きました。それは、他ならぬジョブズがより静かな真実を指摘した言葉でした。
ジョブズが情熱よりも大事にしたもの
そのとき、起業家として偉大であるために実際に何が必要なのかという考えを少し見直さなければなりませんでした。 革新、情熱、ビジョン。他にもすばらしい形容詞を追加していただいてもよいかもしれませんが、こういった、起業家の資質は誰もが知っています。 しかし、起業家に関して、ジョブズは違った見方をしていました。 成功する起業家と成功できない起業家を分けるもののうち半分は、純粋な忍耐力であると私は確信しています。 ピンときました。 この言葉は、起業家精神に対して私たちが抱くロマンチックな概念を問い直します。よくある勘違いは、自分の夢を追い、情熱を保ち、天賦の才を発揮するといったものでしょう。 しかし、ジョブズの言葉が示すものは、情熱やビジョンといった言葉と同時に語られることがほとんどない、視点なのです。
忍耐力がなぜ大事なのか?
確かに。そうですね。事業をゼロから立ち上げるのは容易ではありません。もし容易であったら、誰もが起業することでしょう。 それに、それが事実であることは私には分かります。なにかを長く続けるのに忍耐力は不可欠な特性です。 実際、荒波にもまれたり、銀行口座の残高が減り続けたり、友人から白い目で見られたり、ということもなく、楽な時間を過ごしてきた起業家の名前を一人でも挙げることはできないでしょう。そういったことすべてに忍耐力が必要なのです。 忍耐力は、起業家精神のうち、あまり華やかではない部分に対処するために有用なのではないでしょうか。挫折、拒絶、自信喪失、幾度もの失敗などがそうです。 情熱やビジョンも同じくらい大切です。特に競争が短距離の場合にはそうです。でも、事業を継続することは短距離走ではなく、マラソンであり、長い道のりです。 そうでしょう? 状況が不利な場合でも、やる気がでない時でも、毎朝、顔を出して、前進し続ける力を見いだすことです。忍耐力とは、成長や学びのチャンスとなる、避けることができない課題や挫折を受け入れることなのです。 改めて、スティーブ・ジョブズに感謝したいと思います。 iPhoneで起業を可能にしただけでなく、起業家としての偉大さがあなただけのものではなく、また、「偉人」だけのものでもないと理解する力を与えてくれたのですから。 戦うべき戦いを戦い、新たな挑戦を続ける私たち誰もが、それを成し遂げることができるのです。 Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
嶋谷和幸