<日本一へ・市和歌山>/上 バッテリー中心に始動 逸材に期待「上を狙える」 /和歌山
昨夏の県独自大会3回戦で智弁和歌山に4―7で敗れ、その2日後の8月3日、新チームがスタートした。 練習前のミーティングで半田真一監督(40)は「夏の甲子園で優勝」を目標に掲げた。例年なら唱えない「日本一」をあえて口にしたのは、小園健太投手(2年)と松川虎生主将(同)のバッテリーの存在が大きかった。「2人は高校生の中でもトップクラス。日本一にチャレンジすべきだと思った」 「2年後のキャプテンはお前でいく。自分が先頭に立って引っ張っていくことを自覚し、なんでも率先して動け」。2年前、入学して間もない時期に、半田監督は松川主将にバックネット裏で告げた。力強い打撃、打席での雰囲気は入学時から既に主軸を打てるだけの素質を感じさせた。力があるのに素直で、野球に真剣に取り組む姿勢も目を引いた。「みんなを引っ張ってまとめてくれると期待した」と半田監督は振り返る。 一方、小園投手も力強いストレートとコントロール、マウンド度胸などは入学時から光るものがあった。「1年時から高校野球で通用する能力があった。松川とのバッテリーなら上を狙える」。半田監督が期待したくなる2人だった。 選手同士の雰囲気も良かった。選手たちはチームの特徴を「仲の良さ」と口をそろえる。毎週月曜日の昼食時、2年生は食堂で大きな机を囲み、弁当を食べるのが慣習だ。1年時は個々で食べていたが、新チームになった頃からみんなで集まるようになった。新型コロナ対策でついたてを立て、距離は取るが、高瀬功詩選手(2年)は「新チームになり、より仲が深まった」と話す。 新人戦は順調に勝ち上がり、準決勝で智弁和歌山と対戦した。先発した米田天翼投手(1年)が六回2失点、七回から登板した小園投手が1失点に抑え、田中省吾選手(2年)の3点本塁打などで6―3で勝利。県独自大会のリベンジを果たした。 しかし、決勝の和歌山東戦は2―6で敗戦。松川主将は「智弁和歌山に勝って、チーム全体の気が緩んでしまった。勝った後こそ大事だと学んだ」と反省する。決勝戦では11安打を放ちながら2得点。チャンスで1本が出ないチームの課題を突きつけられた。【橋本陵汰】