「このまま幸せを奪われて終わりたくない」妊娠中に不倫した夫。自分と子どものため、シタ側への復讐を決意したサレ妻の物語【書評】
『夫が二重不倫しやがった 浮気相手は親友2人』(サレ妻ツマ子:原案、薄荷通:漫画/KADOKAWA)は、妊娠中に不倫された女性がシタ側に復讐するまでを描いた物語だ。主人公・ナツミは、結婚して3年目の平凡な主婦。28歳で第二子を妊娠し、幸せな人生を歩んでいた。しかし、2つ年下の夫・ダイキがナツミの妊娠が分かって1カ月目に仕事を辞めたことから、その幸せは崩れはじめていく…。 【漫画】本編を読む
「上司に叱られた」「客に怒られた」こうした不満から、仕事が長続きしないダイキ。その結果、息子の一太のお世話に仕事、家事まで、家庭のすべてがナツミひとりにのしかかっていた。仕事を辞めて毎日家にいるのに、夫は子育てすら協力してくれない。その状況を想像するだけで、ムカムカと怒りが湧いてくる。さらに、やっと就職してくれたと思った途端、今度は夫の不倫という最悪な事実が発覚してしまい――。 ダイキはどこまでも自己愛が強い人間なのだろう。自分勝手な言動で、ナツミの心を削り続ける。なんと、子どもの誕生日にまで、不倫相手との時間を優先し、朝帰りしてくるのだ。この時点でダイキは地獄に落ちた方がいいと思ってしまったのだが、ナツミに降りかかった絶望は、まだまだ終わることがない。 不倫相手からのマウントに、過度なストレスや家庭のワンオペによる負担で流産してしまったのだ。心が折れてしまうのではないかと心配になったのも束の間、ナツミは「このまま幸せを奪われて終わりたくない」と強い心で立ち上がり、シタ側と戦うことを決意する。あまりにも胸が痛い展開が続くのだが、ここからはナツミをこんな目に遭わせた人間たちをキッチリ追い詰めていく。 友人たちの協力を得て、着実に不倫の証拠を集めていくナツミ。あと一歩で離婚と制裁を与えられると思ったそのとき、さらに辛い現実と向き合うことになり――。一体、これ以上どんなことがナツミの身に起こるのか――。最後にはシタ側への復讐を成し遂げるサレ妻の物語を、ぜひ最後まで見届けてもらいたい。 文=ネゴト / 押入れの人