「息子を殺さんでください」 広島・ルフィ事件の被害女性が当時を証言、モンキーレンチで殴られた息子は「失明に近い」
●被告人「金庫の番号を教えて」
二階からは、物を壊すような音がしなくなっていた。 「主人の声が聞こえました。『息子を早く病院に連れていかないと死んでしまう。死んでしまうと殺人罪になるぞ』と言っていました。これを聞いて、息子は(犯人に)勝っているわけではない。倒れていて、動けない状態だと思ったんです。とにかく早く切り上げてもらい、息子を助けたいと思いました」(女性) このとき、息子の後頭部からは血が出ていた。永田被告人がモンキーレンチで殴っていたためだ。女性の夫は手をガムテープでぐるぐる巻きにされていた。一方、女性は、加藤被告人から「金庫の番号を教えて」と二度聞かれた。 「『パニックになっているからわからない。主人に任せているからわからない』と言いました。男は『それじゃ話にならない』と言っていました。その後、二階から主人が降りてきていました。『お前、大丈夫か?』と声をかけられました。 その後、犯人たちは金庫の場所を行ったりきたりしていた。犯人は主人に金庫の場所を聞いていました。金庫を見つけると、『開けて』と言っていました。主人はこのとき、『早くお金を持って行け』と言っていました」 体を押さえつけていた男は、最後まで、女性の口と鼻を押さえていた。 「最後には薄目を開けました。顔を見ようと思って。(薄目を開けたのは)役に立とうと思ったんです。一人でも顔を見て、警察に知らせたいと思いました。 少しでも息子の役に立ちたかったんです。一人の顔ははっきり見ました。店の中から出てきた作業服の男。その人の目をしっかり見ました」(女性)
●失明に近い後遺症が残った息子
男たちが逃走したため、二階へ行くと、息子さんが倒れていた。両手は結束バンドで縛られていた。 女性は「あいつらに負けたらいかんよ。すぐに救急車を呼ぶから」と言い、119番通報した。救急車がやって来ると、息子は意識が戻らない状態で運ばれていった。 息子さんはその後、意識を回復して、今は退院している。しかし、車椅子生活になるなど、後遺症が残っている。 「(事件の被害にあったときよりも、息子は)元気になってきました。二階に行き来するときは車椅子です。リハビリのために歩行器のこともあります。トイレで用をたすことができるようになってきました。 しかし、夜はベッドの横にポータブルトイレを置いています。夜は、私がトイレ介助をしています。一人では歩けない。左半身がしっかりしません。 お風呂については、週二回、介護の人がシャワーをしてくれています。他の日は、私がシャワーの介助をしています。顔を洗ったり歯をみがくことは一人ではできません。また、左側の目が見えにくくなりました。失明に近いです」(女性) ほとんど一人では生活ができないほどだ。 加藤被告人に対して、女性は「私を押さえていた犯人は、それだけの役割だと思うが、それだけでも罰を受けて、しっかり償って、反省してほしい」とうったえていた。