「息子を殺さんでください」 広島・ルフィ事件の被害女性が当時を証言、モンキーレンチで殴られた息子は「失明に近い」
●二階から食器が壊れる音が聞こえる
女性は苦しがった。「息ができない。ゆるくして」と頼んだところ、押さえつけていた男(加藤被告人)は少し緩めたという。男は「あまりしゃべらんほうがいいよ」と言った。 そのとき、女性は「辛抱してようやくお父さんはここまできたのにどうして?」と聞いた。押さえつける男は無言のままだった。このとき女性は目をつぶった。 「倒されて横になってから目をつぶりました。犯人の顔を見たくなかったんです。あとでフラッシュバックみたいに思い出したくなかったからです」(女性) 二階から大きな音がした。 「押さえていたのは、ずっと同じ男で、代わることはなかったと思います。目を開けていたわけではないのですが、玄関にはスペースはなかったです。男から押さえつけられていたとき、二階から食器が壊れた音、物を投げつける音が聞こえました。 二階には夫と息子、犯人たちがいました。殴り合いや、モノを投げつけたり、壊したりしていたと思います。息子と犯人二人が争っている音がしていたのですが、主人の声は聞こえませんでした」(女性)
●モンキーレンチで殴られた息子
共犯者たちの供述を総合すると、二階に上がると照明がついており、息子とつかみ合い状態になっていた。 息子は「お前らは誰なんだ?」と言い、激しく抵抗した。イライラした永田陸人被告人(23)=1審無期懲役・控訴中=がモンキーレンチを取り出した。 永田被告人は『死んでも仕方がない』と思いながら、女性の息子の後頭部を殴った。息子は尻餅をつき、そして、他の誰かが殴ると、倒れ込んだ。 このとき、共犯者の一人が割って入った。「やばい、やめろ」とモンキーレンチで殴るのをやめさせ、息子を座らせた。息子はその後、ガムテープで縛られたという。 「『なんでそんなことをするの?。何年も辛抱して商売をしてきたのに。息子を殺さんでください。お父さんを殺さんでください』と男に言いました。男は何も答えませんでした。 息子をなんとか助けないといけないのに、体が動かないので、蹴ったりすることもできない。顔を確認することもできない。自分では動かすことができないでいました」(女性) その後、一階ではショーケースが割れるような音がした。 「息子が体を鍛えるためのダンベルが見つけられました。(時計の)ロレックスが入っているショーケースをそれで割っていたんだと思います。 『私が玄関をあけてしまったせいだ。自分の責任でこうなった』と思いました。それに殺されると思いました。今まで築いてきたものがなくなってしまう。 あと1週間でクリスマスでした。幸せだと思っていたんです。今起きていることがドラマのようでした」(女性)