バイデン氏とトランプ氏が直接論戦 米大統領選討論会の主なポイント
トランプ氏が中絶薬への立場を表明
経済やインフレ、移民、外交政策などが支配的なテーマとなった討論会にあって、人工妊娠中絶はバイデン氏が最も強みを発揮できる話題のはずだった。連邦最高裁は今月、中絶賛成派にとって有利な判断を2度にわたって下した。また民主党を支持する有権者の間では、中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド判決」を最高裁が覆したことに対する怒りが今も消えていない。 ところが中絶に関する論戦は、今回の討論会における最悪の瞬間の一つとなった。バイデン氏は中絶を巡る民主党の立場を説明するのに苦慮。話にまとまりがなく、時折混乱しているようにも見えた。トランプ氏はこれに乗じ、米国民に対する移民の犯罪へと話題を転じた。 最高裁は今月、経口中絶薬の認可差し止めを認めない判断を下した。トランプ氏は討論会でこの判断を支持する考えを表明。大統領に当選した場合、中絶薬の入手を阻止しないと述べた。中絶の規制は州が決定すべきだという立場も繰り返し強調した。バイデン氏は中絶を州の裁量に委ねることに反対し、「ロー対ウェイド判決」 が下った当時は大多数の憲法学者がこれを支持していたと主張した。
強制送還の議論をかわす
移民の議論は今回の討論でバイデン氏の失敗を最も象徴する部分となったが、トランプ氏が自ら公約した移民取り締まりの厳格化に関する質問に直接答えることはなかった。厳格化が数十年米国に居住する人々や米国で仕事に就く人々、米国人の配偶者を持つ人々の強制送還に関連するものとなるのかどうかは明らかにされなかった。 その代わりにトランプ氏はバイデン氏を攻撃。大統領就任以降の不法移民による犯罪はバイデン氏に責任があると主張し、そうした犯罪で米国人が過去例を見ない水準で殺害されていると訴えた。 バイデン氏はトランプ氏が事実を語っていないと反論。違法な越境の事例は最近になって激減していることを強調しようと試みた。 バイデン氏とトランプ氏の2回目の討論会は9月10日、ABCの主催で実施予定。現時点ではこれが大統領選前の最後の討論会になるとみられている。