バイデン氏とトランプ氏が直接論戦 米大統領選討論会の主なポイント
バイデン氏に(いくらか)手心を加えたトランプ氏
対立候補としてバイデン氏の年齢をことあるごとに攻撃しているトランプ氏だが、討論会で何度も口ごもる相手に対しては抑制的な姿勢を示した。 討論開始から20分の時点で言葉が聞き取れなかったことを指摘した以外、トランプ氏が発話に苦慮するバイデン氏を揶揄(やゆ)するような場面はみられなかった。 4年前の最初の大統領選討論会では何かにつけてバイデン氏の発言を遮り、司会者に向かっても大声を発するなどしていたトランプ氏だったが、今回はパフォーマンスを修正し、自身の印象を傷つけないよう心掛けたとみられる。
バイデン氏によるワンフレーズ攻撃
討論会を通じ、バイデン氏の攻撃戦略は気の利いたワンフレーズを繰り返し浴びせてトランプ氏を否定することだった。 バイデン氏は「彼が話すことは一言一句うそだ」「こんなたわ言は人生で聞いたことがない」などの言葉でトランプ氏を攻撃した。 またトランプ氏が大統領在任中に退役軍人を「バカで負け犬」と呼んだかどうかについてのやりとりの中では、脳腫瘍(しゅよう)で死去した長男のボー・バイデン氏に言及した。ボー氏は亡くなる前のイラク従軍で毒ガスにさらされたと言われている。 バイデン氏は息子はバカではなく、トランプ氏こそがバカであり、負け犬だと明言した。
議事堂襲撃事件の取り上げ方に明確な違い
討論会全体を通じ、両候補者の違いが最も明確になったのは21年1月6日に発生した連邦議会議事堂襲撃事件だった。 議論が議事堂襲撃事件に向かうと、トランプ氏は話題を変えようと当時の米国の状況について説明。「偉大な国境を有し」、「エネルギーでの自立を果たし」、「税率と規制は過去最低の水準だった」との見解を示した。 トランプ氏が襲撃発生前に支持者に向けて行った自身の演説に触れることはなかった。演説の中で同氏は支持者に対し、議事堂で「強さを見せる」よう呼び掛けていた。 対照的にバイデン氏は、トランプ氏が「群衆に呼び掛けて議事堂へと向かわせた」と主張。議事堂が襲撃されている間、トランプ氏はスタッフから対応を求められていたにもかかわらず、「3時間そこに座って、状況を見ているだけだった」と批判した。