【神宮大会】3投手の無失点リレーで勝利した東海大札幌 攻守にわたって目立った攻め続ける姿勢
「(交代する)勇気を与えてくれる」
11月20日 神宮 【第55回記念明治神宮野球大会】 ▼1回戦 東海大札幌高3-0大垣日大高 第55回記念明治神宮野球大会が11月20日に開幕した。10年ぶり5回目出場の東海大札幌高(北海道地区)が大垣日大高(東海地区/岐阜)を3対0で下し、初戦突破を遂げた。 東海大札幌高の左腕・矢吹太寛(2年)は4回無失点、無四球の4奪三振と好投していた。一塁ベンチの遠藤愛義監督は、5回から右腕・高橋英汰(2年)にスイッチ。高橋は4回無失点に抑え、9回は右腕・砂田左漸(1年)が1イニングを締めた。3投手による無失点リレーがきまった。なぜ、遠藤監督は迷いなく、先発投手を交代することができたのか。 「全道大会のときは、点を取られた状態で代えたので、取られる前に代えました」
その理由は――。 「矢吹と高橋の人間関係にあります。2人はお互いを尊重し合っている。交代を告げる前に話をしますが、彼らが何も言うことはありません。ライバル心が強く、ランニングでも競争していますが、お互いを認め合っているんです。この2人の特性かもしれないですが、時代の変化とともに、新しい形かもしれません。僕に(交代する)勇気を与えてくれている」 投手交代の決断は最も難しい。高校生を相手に、遠藤監督には選手起用のポリシーがある。 「試合の流れに固執しないようにしている。流れよりも、子どもたちの良さを、いかに引き出すか。自信を持って、送り出しています」
テーマは『オール・アウト・アタック』
生徒同士の絆の根底には、指導者との信頼関係がある。遠藤監督は東海大菅生高(東京)で9年、東海大相模高(神奈川)で7年の指導キャリアがある。昨年4月、東海大札幌高に赴任(コーチ)し、今年8月の新チームから監督を務めている。 今秋は10年ぶりに全道大会を制し、来春の10年ぶりのセンバツ出場を当確としている。遠藤監督は就任即、結果を残せた要因を語る。 「前任の大脇(英徳)監督が良い形で譲っていただいたのが一番です」 さらに、続ける。 「対話を重要視しています。話しかけやすい、練習や試合が終わってから、頼ってもらえるようなムードづくりを心がけています。それが、かみ合った結果かなと思います」 東海大札幌高はこの日、攻守にわたり、攻め続ける姿勢が目立った。質問が出た。「アグレッシブ・ベースボールを継承しているのか」と。東海大相模高時代の恩師・門馬敬治監督(現・創志学園高監督)の教えである。 「使わせていただこうかな、とも思ったんですが、マネをするのも悔しいので……(苦笑)。私は『オール・アウト・アタック』にしました。総攻撃です!!」 旧校名の東海大四高では春6回、夏5回の甲子園出場を誇り、15年春のセンバツでは準優勝した実績がある。来年1月24日のセンバツ選考委員会を経て、現校名となって、初の甲子園出場は確実。「今日は四高時代のOBもたくさん、神宮球場に応援に来ていただいたと聞きました。新たな札幌高校としての歴史をつくっていきたい」(遠藤監督)。高校、大学、そして指導者としても愛着あるユニフォーム、タテジマのプライドを持って果敢に挑む。 文=岡本朋祐
週刊ベースボール