「103万円の壁」引き上げ 県と25市町で880億円の税収減見込み 県が試算
とちぎテレビ
国民民主党は20日、臨時の執行役員会で党が求めていた所得税が生じる「年収の壁」103万円の引き上げ方針が明記されるのを受けて、政府の経済対策案を事実上、了承しました。また午後には自民党や公明党との政務調査会長の会談で大筋合意されました。所得税と住民税の控除引き上げで多くの人が減税となる一方、地方からは行政サービスの質の低下につながりかねない、と懸念する声が相次いでいます。 「103万円の壁」の金額引き上げについては、企業などから働き控えの解消や減税で手取り収入が増える効果を期待する声があり、共同通信社が16日と17日の2日間実施した全国電話世論調査でも「賛成」と「どちらかといえば賛成」が合わせて69.9%に上っています。 しかしその一方で、国民民主党が求める通り基礎控除などを178万円まで引き上げると、国と地方で合わせて年7兆円から8兆円の税収減になるという政府の試みの計算があり、地方からは行政サービスが低下する影響を懸念する声が相次いでいます。 福田富一知事「物価高騰が進む中、可処分所得を増やし、経済負担を減らす考え方は理解できるが、恒久的な措置となると地方自治体の安定的な財政運営に大きな支障をきたす」 19日の会見で福田富一知事はこう述べ、県内もおよそ880億円の税収減となる見通しを示しました。 県税務課によりますと所得税がかかる年収が、仮に103万円から178万円に引き上げられた場合、県民税で280億円、市町村民税で420億円減少する見通しです。さらに、所得税が原資となる地方交付税については県で110億円、市と町で70億円減ると見込まれ、栃木県内としてはトータルで880億円の税収減となります。県では「今やっている事業ができなくなる」と危機感を示します。 福田富一知事「これは県民・市町民サービスに大きく影響すると思う。新たな制度設計をしたうえで『年収の壁』の撤廃を。そうでないと移行は賛成できない」 国民民主党はその他ガソリン税の暫定税率廃止などを最重点項目として求めていて与党で考えを整理し、改めて3党で協議する意向を示しています。
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