大河ドラマ「光る君へ」舞台は京都なのに、市内に「大河ドラマ館」を開館していないのは、なぜ?ーー「聖地めぐり」の穴場は大津!
秋月祭の日は、ちょうど大河ドラマ館が来館数15万人を突破したところだった。 大津市観光振興課の松本久孝さんは 「年間の目標を10万人にしていたのですが、予想以上に来場していただき、目標を16万人に引き上げました。早くも9月で15万人を超えたので、今後秋の紅葉シーズンもあることですし、もうちょっと多くの方に来ていただけるかなと思っています」と抱負を語る。 10万人という数字は、『鎌倉殿の13人』(2022年)の伊豆の国市(静岡県)の大河ドラマ館が当初10万人を目標に掲げていたことを参考にした。
伊豆の国市はドラマ人気もあって、1年間で目標の約2倍となる19万5838人が入場した(『朝日新聞デジタル』2023年1月20日配信)。 『どうする家康』(2023年)に至っては、徳川家康のメジャー感か、静岡県浜松市が64万314人(目標50万人)、愛知県岡崎市が63万6420人(目標70万人)で、静岡県静岡市は少ないとはいえ約28万人(目標50万人)だった(『朝日新聞デジタル』2024年2月22日配信)。
大河や朝ドラ効果の高さを大津市観光振興課のスタッフたちは実感している。とりわけ石山寺は大河効果で認知度が上がったそうだ。 ■京都市内に「大河ドラマ館」がない理由 大河ドラマが放送されると、ゆかりある土地にできる「大河ドラマ館」。NHKが運営しているものだと思ったら、そうではない。 今回の大津市のような自治体の観光課などが主体で動き、企画にNHKのチェックを受けたうえで衣裳や小道具や写真を借りて展示しているのだ。よく地元の施設で行われているトークショーも地元が主体で行っている。
NHKが放送するドラマの力で地元に観光客を呼び込み盛り上げる。そして地元民がNHKのドラマを見る。この相互協力の図式が長らく続いている。 今回、京都の碁盤の目の中に大河ドラマ館がないのは、共助せずとも売り手市場だからだろう。 ドラマによって盛り上がった観光地は、最終回を過ぎると自ずと勢いは落ちる。ドラマが終わってからも地域が愛されるように工夫することこそ、観光課のスタッフたちにとって大事な仕事なのだ。