超人気店のカリスマが描く「ラーメン界の未来」とは? 『ソラノイロ』宮崎千尋
3. ユニフォームのカジュアル化
ラーメン店のユニフォームは店名の入ったTシャツというのがこれまでの常識。宮崎氏はこの点にもメスを入れた。背番号を入れたカジュアルなデザインのポロシャツをユニフォームとして取り入れた。接客スタッフはもちろんのこと、キッチンのスタッフも揃いのユニフォームを着ることで、店の雰囲気をよりカジュアルなものとした。
4. ”横の繋がり”作り
同業者はライバル関係であり、情報交換などもってのほか。そんな昔ながらの風習も宮崎氏にとってはお構いなしだ。「ラーメン作りに携わる人は、ともにラーメン業界を牽引する仲間」という考えに賛同したラーメン店主、卸業者、生産農家などが宮崎氏のもとに集い、業界の活性化に向けて交流している。
5. ラーメン店のカフェ化
ショップ作りで特にこだわったのが、冒頭でも触れた「女性がひとりでも気兼ねなく入店できる雰囲気作り」だったという。宮崎氏は様々なカフェをリサーチし、内装を研究。旧来の客同士が密着して食事をするレイアウトではなく、ゆとりのある座席配置とした。また、店内を清潔に保つことも徹底し、思い描いた”カフェのような空間”を実現させた。
6. デザインの導入
看板からショップカードに至るまで、デザインワークの統一を徹底した。共通して用いるロゴマークは手描き調でありながら洗練されたデザインを採用。店名の下には「Japanese soup noodle free style」という欧文をあしらっている。注目すべきは、サインまわりに「ラーメン」の文字を入れていない点だ。宮崎氏流の”脱・固定観念”はこんなところにも現れている。
7. 提供価格の適正化
宮崎氏の挑戦のなかでも、ラーメン業界を驚かせたという点では、価格面の改革がもっともインパクトが大きかったのではないだろうか。1杯1000円超え。「20年前に比べ、物価は上がっているのにラーメンの値段はほとんど変わっていない。『ラーメンだから……』と諦めるのではなく、正当な対価をいただき営業し続けるためにも、価格の適正化は欠かせませんでした」。 こうした宮崎氏の改革が成功をおさめたことは、ソラノイロの人気ぶりが物語っている。より多くの人に親しまれ、ラーメン業界が活性化し、より美味しいラーメンがいつまでも食べられる。われわれにとっては”当たり前”のことのように思えるが、そのためには作り手の変化が必要であることを、業界のカリスマは身をもって教えてくれているのである。 保存。 保存。 保存。 DATA ソラノイロ 本店 住所/東京都千代田区平河町1-3-10 ブルービル本館1B TEL/03-3263-5460 営業/11:00~21:00(各日スープ、麺が売り切れ次第閉店) 休み/土曜、日曜、祝日 。
buono編集部