「食」を通して学べる! 金融街のビルの屋上に出現した「食べられる校庭」とは[FRaU]
「愉快な課外授業のように見えますが、この風景の中には生物や美術にまつわる学びがあります。収穫物の数を数えるには算数の知識も必要ですね。今日はみんなで食べるサラダ用のドレッシングを作りますが、油とハチミツ、酢などの素材を混ぜたらどんな変化が起こるか? それもひとつの科学的な実験ですよね。しかも、“おいしい実験”です」 とは授業の様子を見ていた小川優校長。
「うちはビル街の中の学校で、屋上にある校庭は広いとは言えませんし、何より土がないんです。土に触れること、野菜を育てることで、自分が日々食べるものについて興味を持つ子も増えています。ほかの科目についても総合的に楽しみながら学べるというのは素晴らしい。私の夢はね、いつか学校の屋上に菜園を作って、授業をすることなんですよ」
収穫した野菜と花を盛り付けて、手製のドレッシングも完成。テーブルクロスを敷いたテーブルの上には花が飾られ、家をもらったアオムシたちは一足先に葉っぱを食べている。なんて豊かで、美しい食卓なんだろう。
エディブル・エデュケーションが大切にしている学びのひとつに「自然界と結ぶ情感的な絆」というものがある。それは教室の中で教科書をなぞるだけでは決して感じることのできないものだ。けれど、小さな畑がひとつあるだけで、その絆は少しずつでも、たしかに育まれていく。たとえそれが大都会、東京のビル街のど真ん中であったとしても。 訪ねた場所 Edible KAYABAEN 東京・日本橋茅場町にある東京証券会館の屋上にできたファームガーデン。小学校に菜園を貸し出し授業の場を提供するほか、一般参加できる自然学校「アーススコーレ」も開講。 ●情報は、FRaU2024年1月号発売時点のものです。