竹内結子、初共演・福士蒼汰とは親子より兄弟?
『旅猫リポート』で竹内は、愛猫の新しい飼い主を探す旅に出る悟(福士蒼汰)を、小学生の頃から親代わりに育ててきた検事、法子を演じている。善人だが偽善的なところはひとつも感じられず、自分がよしとした定義に基づいて生きている。難しい役だが無理がない。彼女はこういう役がうまい。演技者としての彼女に無理がないからか。法子という人物像を解いていきながら、演技者としての竹内に迫ってみたい。
法子は私と同じ 仕事して、ご飯作って…いつの間にか時が経って
――なぜ法子は迷いなく、悟を育てるという大きな選択をしたのでしょうか? 竹内:姉夫婦の子である悟を、自分の傍に置いて大きくなるまで見守りたい一心というか。姉夫婦の思いを一番よく知っているからこその責任というか。そういう気持ちに駆られてということなのかと。 ――自分自身の家庭を、法子は持たなかったようですね。 竹内:諦めた、ということではなく、法子はなにより目の前のことで手一杯で、それどころではなかったんじゃないでしょうか。私と同じ。仕事して、ご飯作って、悟に食べさせて、学校のことやって、気づいたらいつの間にか時が経ってしまっていた、というか。 ――法子は、自分の仕事をどんなふうに捉えていたと思いますか? 竹内:検事は、正義感の強い法子の性格にぴったりな仕事だなと思います。でも人生でいうと悟が半分、仕事が半分。悟がもっと小さい時は、彼の割合のほうが大きかったんじゃないかと思います。
イメージしていた悟と近かった福士蒼汰
――そんな法子を、悟はどんなふうに見ていたと思いますか? 竹内:法子も素敵な人だと思いますが、悟もすごくいい子なんですよね。本当に控えめ。もっと贅沢を言ってもいいのにと思います。法子にもいつも感謝してくれる。法子は、保護者でありながら、彼に甘えていたと思います。一方、悟は、仕事に忙殺される法子を見て、自分のことは自分でできるようにならなきゃと思うようになっていった。監督からは、親子というより、兄弟みたいな関係なんじゃないかと言われましたね。 ――そんな悟を演じた福士蒼汰さんはどんな俳優でしたか? 竹内:福士さん自体、とても穏やかな人。悟という役を入れてきていたからかも知れませんが。恐縮するとかじゃなくて、いい感じでとても気を使ってくれる。そこは、私のイメージしていた悟とも近かった。私の思いを尊重してくれるという意味では、こういう人いいなあと(笑)。ちょっと控えめなところが、悟みたいだなと思いました。話を合わせなきゃみたいな気遣いをすることもなかったし。悟は、別に法子さんでもいいと思うんだけど、おばさんって呼びかけるんですよね。え、「おばさん?」と思わなくもないですが(笑)、その言い方がまた優しい。信頼しているというふうに聞こえて心地いいというか。 ――悟はなぜそんなに控えめな性格になったのだと思いますか? 竹内:引け目を感じていたからじゃなくて、感謝する気持ちがそうさせたんじゃないでしょうか。母の代わりに育ててくれる人、自分と仲良くしてくれる人に対する感謝の気持ち。